このまま進めていいの? 生活保護基準引き下げと「改革」

2012年12月26日

1 生活保護の基準引き下げと「改革」

 今、厚生労働省は生活保護基準部会を設けて「低所得世帯との均衡」という理由で、保護基準を引き下げる方向の検討を進めようとしています。2006年に老齢加算が廃止されたときと同じ手法です。
 厚労省は、生活保護制度「改革」も検討しています。内容は、就労指導の強化、扶養義務者への調査の強化、特に「元」受給者と扶養義務者にも回答義務を課すことなどです。

2 生活保護バッシング

 このような流れの追い風となっているのは、芸能人の親族が生活保護を受給していたことから始まった生活保護バッシングです。

しかし、扶養は保護の要件ではなく、報道された芸能人の親族は不正受給をしていたわけではありません。「不正受給」にしても、保護費全体の0.4% であり、ごく一部の人が行っているにすぎません。不正受給には厳格に対処すべきですが、それと制度全体の問題とは区別して考える必要があります。

3 相次ぐ餓死・孤立死…貧困問題の解決を

 2011年には報道されただけで10件以上の餓死・孤立死事件が相次ぎました。2009年の相対的貧困率は16%で過去最悪、他方、生活保護の 受給率は1.66%であり、貧困状態の人の多くが生活保護を受給できていないのが現状です。2012年1月の札幌の40代姉妹孤立死事件では、「懸命なる 求職活動」を求められて保護申請できなかったことが明らかになっています。就労指導の強化が、今後もこのような水際作戦の口実にされることが懸念されま す。

 多くの受給者が、今の基準でも厳しい生活を送っています。生活保護基準は様々な福祉施策の要件や課税最低限の基準とも連動しており、多くの人の生活に直結する問題です。

低賃金・不安定な雇用の広がりや不十分な社会保障制度の中で、誰でもいつ生活保護が必要になるかわかりません。生活保護制度を叩くのではなく、貧困 問題の解決こそが必要です。最後のセーフティネットが破られないために、基準引き下げと制度改悪に対して皆さんと一緒に声を上げていきたいと思います。

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