教室に暴力は要らない!青葉小体罰自殺事件

2010年01月20日
許される「体罰」って何?   
 
 
教師が生徒を指導する際,胸ぐらをつかんだり,叩いたりすることをあなたはどう思いますか。先生は必ず「教育目的,指導目的で行った」と弁解しま す。同じことを大人に対してすれば「暴行罪」に問われます。生徒に対し「指導目的」をもって行えば法的責任を問われないのでしょうか。「教育」と「暴行」 の目的の主従は誰が判断するのでしょうか。教師に許される暴行と,「体罰」(学校教育法11条但書)という禁じられた暴行の違いは何でしょうか。

事案の概要  
 
 小学校5年の小柄でやんちゃな男児が,昼休みに新聞紙を筒状にして遊んでいたところ,それが女子に当たってしまいました。男児はその場で謝りまし たが,先生に言いつけられました。先生は,教室にやってくるなり男児の言い分も聞くことなく,頭ごなしに謝罪を求めました。すでに謝罪を済ませていた男児 が拒否的な態度を示すと,先生は男児の胸ぐらをつかみ押し倒しました。男児は一旦教室を飛び出し,すぐにランドセルを取りに戻ってきました。先生は,男児 に「なんで戻ってきたんね。」と突きはなしの言葉を浴びせました。男児は再度教室を飛び出し,自宅に戻り,自室で自殺しました。先生は飛び出した男児への フォローは何も講じませんでした。

勝訴判決

 
男児の両親が,北九州市を被告として損害賠償を求めた裁判で,裁判所は09年10月1日,両親の請求を認める判決を言い渡しました。判決は,教師 の言動は許される懲戒権の範囲を明らかに逸脱しており,適切なフォロー措置もしなかったことに過失があると断じました。同時に,学校災害共済給付機関であ る日本スポーツ振興センターに対しても全額を支払うよう命じました。

 最高裁は09年4月,「有形力の行使であっても,諸事情を総合勘案して,法で禁止された『体罰』にあたらない場合がある」との判決を下したばかりでしたが,福岡地裁小倉支部が本件について法で禁じた体罰に該当するとの判決を下したことは画期的です。

 学校という密室で発生する事件の真相を明らかにすることは極めて困難ですが,ご遺族の地道な調査と,当時のクラスメイトたちの真摯な証言や陳述が,あの日先生が男児に何をしたのかを包み隠さず照らし出し,勝訴の原動力となりました。

体罰全面禁止,教室を「ガラス張り」に!  北九州市は,「胸ぐらを掴んで揺するのが体罰なら,現場の教師は萎縮する」とあくまで体罰ベースの指導を肯定し,控訴しました。

 そもそも教育は,生徒と教師の信頼関係の上に成り立つものです。許される体罰などありません。体罰によらない指導の確立と,教師の働く環境の改 善,そして学校で起こった出来事はすべて第三者委員会で真相を究明するシステムを作ることこそが,体罰による悲劇を根絶する第一歩にほかなりません。両親 の気持ちとは裏腹に高等裁判所での審理が続きます。
(担当:八尋八郎弁護士,高木佳世子弁護士迫田学弁護士

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