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遠方にいる身内が認知症になってしまった

当事務所でご依頼を受けたあるケースをご紹介します(内容についてご承諾を得て一部変更を加えています。)。

 

ご相談者のAさんには、関東地方に住む高齢の叔母様・Bさんがいます。Bさんは数年前から認知症の症状が出始め、施設に入所していました。最近になりBさんの夫が亡くなりました。Bさんには子どももいません。

ある日、AさんはBさんが入所する施設から、Bさんの入所契約の更新や身の回り品の購入をしたいがBさんの預金を扱える人がいなくて困っているとの連絡を受けました。

このような場合、Bさんを援助する一つの方法として、Bさんのために成年後見人を付けるということが考えられます。

 

成年後見制度とは、認知症などの理由で財産管理の能力を失ってしまった成年者(被後見人)のため、代わりに財産上の法律行為を行うほか身上監護までを行う者-成年後見人を家庭裁判所が選任する制度です。被後見人の財産状況や現在までの経緯などを家庭裁判所へ申立てを行って説明する必要があります。

 

Aさんは、ご相談の際、Bさんには住み慣れた関東の施設に入所してもらったままで、九州にいる自分が成年後見人になりたいとの希望を持っていました。このように遠方にいる人が成年後見人になれるのでしょうか。

 

Aさんのご依頼を受けた担当弁護士は、Bさんの住む場所を管轄する家庭裁判所に成年後見手続の申立てを行い、丁寧に事情を説明しました。成年後見人候補者は、家庭裁判所の審尋(裁判官との面接)を受ける必要があり、担当弁護士はAさんとともに関東まで行き、審尋に立ち会いました。

 

その結果、Aさんの希望するような形で成年後見手続が開始され、Aさんは成年後見人になることができました。家庭裁判所としては、Bさんの心身の安定を考えて現在の生活環境を維持する必要があり、Aさんの人柄やBさんとの関係からも選任に問題がないと判断したようです。

 

少子高齢化と核家族化が進む現代社会では、このケースは珍しいケースではありません。もし同じような問題に直面したときは弁護士へのご相談をおすすめします。

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