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I社解雇事件勝利解決のご報告

弁護士 池上 遊

 I社は、機械部品の製造、加工販売の会社ですが、2011年4月30日付で2名の労働者を普通解雇した件について、このたびI社への職場復帰という画期的な勝利を勝ち取りましたので、ご報告します。 


 

解雇後、労働者らは、会社と数回の団体交渉を重ねましたが、会社がそれぞれ19個と18個もの解雇理由を挙げ、これらに対する労働者らの反論に対しても徹底的に争ってきました。

そこで、2011年10月25日、会社に対し、地位の確認と賃金の仮払いを求めて仮処分を申立てました。  これに対し、2012年2月3日、裁判所は、解雇について権利の濫用であるとして無効であると認め、賃金の仮払いを命じる決定を下しました。  そうしたところ、会社が労働者らに対し、4月2日以降、暫定的に職場復帰することを求めたため、労働者らは暫定的な職場復帰を勝ち取ることができました。

そして、4月3日には本案訴訟を提起し、裁判は仮処分から本裁判へと移行しました。
会社は、仮処分の決定を受け入れ、暫定的な職場復帰を認めながら、本裁判でも徹底的に争い、労働者らの尋問、会社の社長を含む関係者の尋問が実施されました。

ところが、尋問後に裁判所から和解を勧められた会社側は、正式な職場復帰を前提とする和解のテーブルにつきました。  その後、正式な職場復帰までの賃金や社会保険等の清算、職場復帰後の労働条件などについて検討を重ね、平成26年11月25日、和解が成立したのです。

通常、解雇を争う裁判では、労働者が解雇無効の判決をもらってもそれで直ちに会社に復帰できるものではなく、会社との関係も悪化していることから、職場復帰を勝ち取るのは非常に困難です。  本件では、正式な職場復帰を勝ち取ることができ、その意味で勝利と評価できる解決となりました。

職場復帰後の労働条件についても、勤続年数等の点で解雇されていない他の労働者らとの間で不平等にならない内容(解雇されていないのと同じ労働条件)のものとなっています。  人材の流動性を強調し、解雇しやすい非正規労働者の社会が作り上げられようとする昨今において、正規労働者であることの意義やその権利の重要性が再認識される画期的な勝利となりましたのでご報告させていただきます。

なお、本件は、当事務所の弁護士前田と池上が担当しました。

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