借金とギャンブル 

2016年10月12日

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弁護士が扱う法律問題の中の重要なものの一つに多重債務の問題があります。多重債務とは,一般的に複数の債権者(個人,貸金業者含む)から無計画な借り入れを次々と行ってしまった状態を差します。返済に充てる目的で新たな借り入れ先を増やしてしまい,1,2年で数百万円もの借金をつくってしまうケースも珍しくありません。

 

多重債務のご相談を受けた弁護士は,相談者の借入状況や収入,家計を把握したうえで,債権者との間で毎月の支払額の減額交渉をする方法のほか(一般的に「任意整理」と呼ばれる方法),返済が困難な場合には破産申立手続(債務額をゼロにする手続)を助言することもあります。

 

このような多重債務状態に至ってしまう原因には様々なものがありますが,典型的な原因としてギャンブルがあります。2014年に厚生労働省が発表した国内のギャンブル依存症者数は,成人人口の4.8%にあたる536万人でした。

 

ギャンブル依存症は,ギャンブルを習慣的に繰り返してしまうことで発症することがありうる精神疾患です。依存が進むと,周囲に嘘をついてまで金銭を投じ,借金を重ねてしまうことが多くあります。家族や就労先にギャンブルのための多額の借金が発覚し,社会的な立場に悪影響を及ぼすこともあります。

 

ギャンブルは破産申立手続を行った場合にもマイナス要因となります。つまり,破産法上の免責不許可事由として,「賭博その他の射幸行為(筆者注:偶然に得られる成功や利益を当てにする行為。いわゆるギャンブル全般です。)をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと」(252条1項)が挙げられているため,ギャンブルが多重債務の主たる原因である場合には,破産手続による免責許可,つまり債務額をゼロとすることができなくなる可能性が高まるのです。

 

平成28年9月に宮崎県で開催された九州弁護士会連合会の定期大会では,ギャンブル依存症が多重債務をはじめとする社会問題の根源の一つであるとの考えに基づき,各弁護士が,日頃の業務において,公的あるいは民間の機関と連携しながら,ギャンブル依存症者の回復への支援をするよう,啓発や情報提供に努めることなどを内容とする宣言(「ギャンブル依存症のない社会をめざす宣言」)を決議しました。

 

この決議は,競馬,競輪などの公営賭博について,国が適切な法規制を行い,街中の看板やテレビコマーシャルなどの広告を制限し,国民が各ギャンブルに対し,容易にアクセスできないような方策をとることも求めています。

 

当事務所の弁護士は,このような決議の内容も踏まえ,ギャンブル依存ないし多重債務の問題でお困りのご本人のほか,周囲にギャンブル依存症が原因で多重債務問題を抱えている人がいるという関係者の方からのご相談も積極的にお受けしています。

弁護士 天久 泰

 

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