有期雇用のあなたにこそ知って欲しい!2018年問題って何?

2017年06月19日

有期雇用2012年に労働契約法が改正されました。法改正のポイントのひとつは、「無期転換ルール」と呼ばれる制度です。これは、有期雇用の通算契約期間が5年を超える労働者が、自ら希望する場合に、有期労働契約から無期労働契約に転換することができるというものです(労働契約法18条)。

 

無期転換ルールは新法の施行日(2013年4月1日)以降に締結、更新された有期労働契約から適用されます。労働者が無期転換を申し込むことできるのは、通算契約期間が5年を超える場合ですので、契約が1年毎に更新される場合、無期転換の申込みが可能になるのは、2018年4月以降となります(※1)。 有期労働契約はいつ更新を拒否されるかわからない不安定な雇用形態であり、このような無期転換のルールが設けられたのは、画期的なことと言えます。

 

しかし、この無期転換権が発生する前に使用者が雇止めするのではないかという懸念は指摘されており、実際に雇用期間の上限を設けて契約を締結させるケースがすでに出ています。また、仮に更新された場合はどのような労働条件になるのかといった問題もあります。このような労働契約法18条に関する諸問題を総称して2018年問題と言っています。

 

そもそも、無期転換ルールの趣旨は、有期労働契約を反復更新して労働者を長期間継続雇用するという有期労働契約の濫用を防ぎ、有期契約労働者の雇用の安定を図ることにあります。そのため、無期転換権が発生しないように更新限度条項を付したり、5年通算期間前に雇止めしたりすることは法の趣旨に反することになります。

 

では、無期転換権発生前に、更新限度条項を提示された場合や以後更新しないと明示された場合は、どうしたらよいのでしょうか。

 

裁判例をみると、使用者が更新限度や以後更新しない旨を明示した場合でも、一旦雇用継続への合理的期待が生じていた場合は、雇用継続への合理的期待が当然に失われる事にはならないと判断するものがあります(※2)。(雇用継続への合理的期待については、業務の客観的内容や更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待をもたせる言動や制度の有無、労働者の継続雇用に対する期待の相当性、契約上の地位その他の事情によって判断されます。労契法19条参照)また、別の裁判例では、一旦更新限度条項を受諾し、契約を更新した場合についても、更新限度の合意の成立について厳格に吟味した上で、更新限度の合意を否定しています(※3)。

 

したがって、一旦不更新条項に合意した場合でも、それに基づいてなされた雇い止めを争う余地はあります。現実的には、不更新条項を提示された場合や以後更新しない旨を明示された場合は、それに対して納得していないことを使用者側に伝え、そのことを証拠として確保しておく必要があるでしょう。また労働局には、無期転換ルールの適用を免れる目的等で同ルールにより無期転換権が発生する以前に雇い止めが行われる等の情報を把握した場合、積極的に啓発指導するよう通達が出されています。無期転換ルールで争いが生じた際には、労働局に相談し、労働局から使用者に対し助言や指導を促すという方法もあります。職場に労働組合があれば、団体交渉の課題として更新限度条項の撤回を求めるという方法もあるでしょう。

 

有期雇用で働く方たちは、無期転換権がいつ発生するかを知り、もし無期転換権が発生しないよう使用者が雇い止めや更新限度を設けようとしていることがうかがわれる場合には、諦めずに,一度労働局、労働組合、労働事件を多く扱う弁護士に相談してみてください。

 

※1 たとえば、2013年4月1日に1年間の有期労働契約を締結し、その後1年ずつの更新を繰り返すとすれば、2017年4月1日に4回目の契約更新時期がきます。4回目の更新時点では、契約の通算期間が2013年4月1日~2018年3月31日までとなり、5年を越えないので、無期転換の権利が発生しません。5回目の更新時に通算契約期間が5年を越えることになるので、2018年4月1日の契約更新日に無期転換の権利が発生することになります。

ポイントは「通算契約期間」が「5年を超える」ということで、例えば、契約期間が3年毎の場合は、1回目の更新の際に、既に通算契約期間が6年となり5年を超えるので、1回目の更新のときに、無期転換の権利が発生することになります。

 

※2 神戸地尼崎支判平成20.10.14など

 

※3 横浜地判平成25.4.25など

 

弁護士 諸隈 美波

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