退職するのは簡単か?

2019年03月01日

退職届s 勤め先を辞めたいがなかなか辞めさせてもらえない、という相談を受けることがあります。理由は様々ですが、勤め先からの借入を返済するまで退職させられないとか、辞めると損害賠償請求すると脅されているといった事案もありました。

 

 確かに、法律上、労働者が退職をするのは自由と考えられていますが、実際に退職するのはそれほど簡単なことでしょうか。

 

 退職についての法律上の決まりは次のとおりです。

① 期間の定めのない雇用契約の場合

原則として勤め先に2週間前には予告しないといけない(民法627条1項)。

② 期間の定めのある雇用契約の場合(有期雇用)

 契約期間の途中に退職するときは、「やむを得ない事由」が必要(民法628条)とされています。もっとも、契約期間の初日から1年以後は、自由に退職することができます(労働基準法137条)。

 なお、労働者が故意、過失により上記の「やむを得ない事由」を生じさせた場合、退職によって勤め先に生じた損害賠償責任を負うことがあります(民法628条)。

 

 上に挙げた例のように、借入を返済するまで退職させられないと言われたとしても、それは、退職後に返済方法について協議すればよいだけのことで、退職を制限する理由にはなりません。

 また、辞めると損害賠償請求されるのは、上記のとおり、有期雇用で「やむを得ない事由」を故意、過失によって生じさせた場合のみです。この場合も、勤め先に対して退職の意思を明確にしていれば、勤め先が労働を強制することはできず、退職そのものが制限されるわけではないと考えられています。

 

 上記のとおり、退職は基本的には自由とされており、現在では、労働者に代わって退職を代行するサービスというものが生まれているようです。

 もっとも、実際には、退職の理由は様々ですし(賃金の未払い、ハラスメントなど)、上記のように退職の手続一つをとっても様々な決まり事が規定されています。勤め先が上記の他にも様々な理由で退職を妨害しようとすることもあります。

 したがって、単に退職を勤め先に連絡すればそれで勤め先との関係がキレイに片付くというものではなく、実際には様々な事情を検討しながら、どのようにして勤め先との関係を終わらせるのかを考えなくてはならないのです。

 また、辞め方によっては、その後の失業手当の支給等に影響することもあります。

 勤め先を辞めるときは、こうしたことも踏まえ、弁護士に相談されてみてはどうでしょうか。

 

弁護士 池上 遊

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