「政務活動費」は「生活費」?

2017年10月11日

領収書 皆さん政務活動費をご存じでしょうか。政務活動費とは,県議会と市議会の議員に対し,議会で政策を提案するための調査・研究のために支給される金銭のことです。北九州市では,議員1人あたり毎月35万円が支払われています。

 その政務活動費をめぐる不祥事が後を絶ちません。数年前に静岡では,居酒屋やラーメン店の飲食代金に,年間で30万円以上の政務活動費を投じていた議員がいました。自分の生活費としてもらったお金だと誤解しているのでしょうか。兵庫県議会では不正支出を行って記者会見で号泣した議員がいたことも記憶に新しいところです。

 

 政務活動費を含め,私たち市民の血税が源泉となっている公金のムダ遣いを防止するため,いわゆる「市民オンブズマン」の活動に取り組む人たちがいます。私も北九州市に本拠を置く「市民オンブズマン北九州」の幹事を10年以上務めています。

 「市民オンブズマン北九州」の活動として,ほぼ毎年,北九州市議会議員の政務活動費に関する報告書等の公文書を取り寄せ,内容を精査することがあります。このような活動の成果として,平成27年度の政務活動費は,交付されたお金の16.6%にあたる4000万円あまりが市へ返還されています。

使い切れなかった政務活動費を返上するのは当然のことです。この考え方をさらに推し進めて,不祥事・不正を防止すべく,生活費を前払いではなく,「後払い」にする,いわゆる後払い制導入の流れが生まれてきています。

 後払い制を全国に先駆けて京都府京丹後市が導入しました。導入により,実際の支出額は,条例上の支給上限額の6割にとどまったそうです。明らかにムダ遣い防止の効果があがっています。

 議員において一次的に活動費用の立替えをしなければならず,議員活動の萎縮につながるというデメリットも指摘されます。しかし,地方自治法の「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という大原則からすれば,立替えがそのまま自己負担に代わるかもしれないという緊張感を持つことこそ必要な状況でしょう。また,限られた財源の中で創意工夫する努力こそ,議員に求められる資質であるともいえます。

 

 市民オンブズマン北九州では,このような政務活動費の後払い制を導入する条例の制定を求め,今年5月に北九州市議会(名宛人は各議員)に対して申入れを行いました。現時点においてまだ導入はされていませんが,他の都市でも行われているわけですから,やってやれないことはないはずです。

 このような市民目線の活動を,法律家の観点から後押しすることは,「社会正義を実現する」ために「法律制度の改善に努力」する使命を負う弁護士が果たすべき重要な役割です(弁護士法1条)。

 これからも弁護士の使命を全うできるよう,市民の皆さんとともに頑張っていきたいと思います。

弁護士 天久泰

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