「相手の住所や氏名がわからなくても裁判はできる?①」

2018年10月15日

調査1 裁判を起こすときは,裁判所に「訴状」を提出します。

 この訴状には,自分の住所・氏名や請求の内容等と共に,必ず「相手(被告)の住所・氏名」も記載しなければなりません。原則として記載された住所に訴状が送達され,裁判が進んでいくことになります。

2 ところで,相手の氏名はわかっているが,住んでいる場所がわからないというケースがあります。典型的には,既に相手が転居をしているのに,住民票を移転しておらず,転居先がわからないという場合です。夫婦が既に長期間別居しており,正式に離婚したいが相手が行方不明というケースもあります。

 このような場合にも,裁判を進める方法はあります。

 この場合,まず,住民票上の住所地の現地調査や,就業先の調査,関係者からの聴き取りなど,可能な限り調査を行います。

 それでも相手の住所や就業先がわからない場合,これらの調査結果を添付して,裁判所に「公示送達」の申立てを行います。公示送達というのは,裁判所の掲示場にいつでも書類を交付できる旨の掲示を行い,そこから2週間の経過により,送達の効力が発生するという手続です。この手続を経ることで,相手に裁判所類が送達されたものとして,裁判を進行させることができます。

 もっとも,このような場合,相手は裁判に出頭しない可能性が高くなります。したがって,裁判でこちらの言い分が認められる可能性は高いですが,金銭を請求するような事件では,その後所在不明の相手方からどのように回収を行うか,事前によく検討しておく必要があります。

3 なお,さらに稀なケースとして,相手方の住民票上の住所も,氏名すらもわからないという場合があります。この場合については,次の記事で述べたいと思います。

弁護士 今 里  晋 也

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