むりやり成立させられた「戦争法制」  即時廃止 求める国民運動を(前編)

2015年10月28日

1 はじめに

この原稿を書いている今、戦争法制(政府は、「平和安全法制」などと呼称するが、本稿では「戦争法制」という。)は成立し、政府(防衛省)は、南スーダンPKOに参加している陸自部隊に対し、国連職員や他国の部隊が武装集団から危害を加えられそうな場合に武器を使って救援する、いわゆる「駆け付け警護」や、外国軍隊とともに、武器を使用して宿営地を防護する任務を与えることを検討している、との報道まで流れている(9月19日、NHK)。

戦争法制に対しては、憲法学者や憲法解釈の専門機関である内閣法制局元長官らが憲法に違反する(違憲)と断じたのをはじめ、国内から圧倒的多数の批判を受け、また、国外からも批判を受けた。このような批判の高まりを象徴するように、国会を包囲する十数万人規模の行動が連日にわたって取り組まれた。

にもかかわらず、自民党を中心とする与党は、戦後最長と言われるほど延長した会期に間に合わせることを目指し、衆議院、参議院での採決を強行しつづけ、戦争法制を無理矢理に成立させた。

本稿では、改めて戦争法制の違憲性などその問題点について確認するとともに、これを廃止するために私たちがどうすればよいか検討する。

 

2 戦争法制の問題点

(1) 手続面

国連憲章51条において、国連加盟の各国が有するとされた集団的自衛権について、政府は、これまで「憲法9条に違反するから行使できない」と答弁してきた。

ところが、昨年2014年7月1日、第二次安倍自民党政権は、9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。また、日米ガイドラインを改定した今年4月、安倍首相は、遠くアメリカ議会で、「この夏までに成就させます」と約束し、戦争法案の国会審議に入り、成立を強行した。

このような暴挙は、まず、9条の条文は変更せずに、内容を実質的に変更する解釈改憲を閣議決定や憲法より下位にある法律の制定、改正により実行した点で、改正手続きに関する基本原則(96条)を潜脱するものであって、国民主権の原理に反する(前文、1条)。

次に、国家権力の暴走を抑止し、私たちの自由や人権を守るために生み出した立憲主義に違反する。私たちは、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を制定する」(前文)とし、基本的人権を尊重させるとともに(97条)、国務大臣,国会議員等に憲法尊重擁護義務を課している(99条)。政府与党は、こうした憲法の根幹を踏みにじった。

以上にとどまらず、安倍首相や政権与党の言動にも、こうした憲法の基本原則に対する無視、無理解を見て取ることができる。いずれにしても、戦争法制成立の過程におけるあらゆる動きが憲法の基本原則に違反しているということができる。

(後編に続く)

弁護士 池上 遊

(「くらしと福祉・北九州」より転載)

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