むりやり成立させられた戦争法案 「即時廃止」 求める国民運動を(後編)

2015年11月10日

2 戦争法制の問題点

 

(2) 内容面

  まず、戦争法制の根幹ともいえる集団的自衛権行使等の違憲性である。9条は、戦争と武力による威嚇又は武力の行使を禁止することに加え(1項)、戦力の不保持・交戦権の否認を定めることで(2項)、徹底した恒久平和主義を基本原理とした。そのため、先ほど述べたとおり、政府は、我が国に対して武力攻撃が加えられた場合にこれを排除するため、必要最小限度の実力を行使することまでは禁じられていないと解釈する一方、集団的自衛権の行使や海外での武力の行使は、その限度を超えるものとして許されないとしてきた。

具体的には、①我が国に対する武力攻撃に対処するための個別的自衛権行使に限定した武力行使と,②個別的自衛権行使以外の場面での武力行使の禁止(海外での武力行使の禁止。武器使用に限定)などの原則があるとされてきた。

ところが、戦争法制は、集団的自衛権の行使を容認し、わが国が武力攻撃を受けなくても海外での武力行使を認めたり、自衛隊の支援場所を広げ、「戦闘現場」以外なら地球上どこでも活動できるようになるとともに、支援物資として弾薬を運ぶことや発進準備中の戦闘機への給油もできる。また、旧政権打倒の後に行われる占領軍(多国籍軍)の治安維持活動への参加も可能となり、紛争に至る危険性の高い活動を行うなど、上記の基本原則を様々な局面で逸脱するものである。

交戦権の否認に正面から違反しているのはもちろん、そのような武力の行使を展開する自衛隊はもはや軍隊と言わざるを得ない。

次に、戦争法制がいわゆる有事法制の改正法を多く含むことからくる問題である。

詳細は、9月5日(土)憲法ネット主催学習会で述べたので割愛するが、戦争法制は、有事法制における武力攻撃事態の場合に存立危機事態の場合を加えている。政府は、存立危機事態と武力攻撃事態が併存することを前提とした説明をしており、しかも、存立危機事態は政府の総合判断によるというのであるから、民間からの戦時動員の機会や動員先は飛躍的に拡大するといえる。また、平時からの訓練はより戦争を意識した訓練となる。

 

3 戦争法制を廃止するために

  戦争法制の問題点は紙幅が足りないほど、問題だらけと言わざるを得ないが、大事なことは、これに対して多数の国民が反対運動の先頭に立ったということである。特に、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会には、これまでの運動体の枠を超えた参加が実現したし、なにより、SEALDsなどを中心とする若者や安全保障関連法案に反対する学者の会などを中心に大学関係者も各地で立ち上がったことが象徴的である。

私が弁護士になって1年目に経験した東日本大震災と原発事故を境に、政府や政治のあり方に対する強い不信感が生まれ、新しい運動が各地で見られるようになったが(明日の自由を守る若手弁護士の会、「あすわか」など)、その一つの到達点がこの戦争法制国会に対峙した「個人」だったのではないかと思う。

  したがって、戦争法制の成立に対して、まったく悲観する必要はない。まずは、この戦争法制の即時廃止を求める国民運動が組織されなければならない。

北九州では、国会が開会される頃から、様々な運動が取り組まれてきた。9月6日に勝山公園(市役所前)で開かれた福岡県弁護士会主催の集会には4000人を超える市民が詰めかけた。また、その翌週も同集会の実行委員会を中心に連日街宣行動が組まれ、数百人の市民が毎日小倉駅前で声を上げ、それが全国紙に掲載されるまでに運動が発展した。戦争法制成立後の連休最終日である9月23日も勝山公園(市役所前)で若者らで構成されるFYMkita9による集会が開催される。

この北九州を含む各地方から戦争法制を廃止するための新しい国会をつくる、私たちの国会をつくる大運動がつくられなければならない。

憲法はいまだに実現されたということはできない。少しずつの不断の努力で、立憲主義、恒久平和主義、民主主義の国家を私たちの手で作り上げていくことが求められている。

憲法前文「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようとしている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

弁護士 池上 遊

(「くらしと福祉・北九州」より転載)

 

Comments are closed.