カネミ油症訴訟不当判決

2013年06月19日

平成25年3月21日,カネミ油症事件の新認定被害者らがカネミ倉庫に対して損害賠償を求めた裁判について,福岡地方裁判所小倉支部は,原告らの請求を棄却する判決を言い渡しました。この判決は,油症認定の実態や被害者の状況を全く理解していない極めて不当なものです。 


カネミ油症事件は1968年にカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油を食べた約1万4000人が,米ぬか油に混入していたポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類等を体内に摂取することにより,様々な健康被害に遭った前代未聞の食品公害事件です。

早い段階でカネミ油症と認定された被害者らは,1986年までに裁判を提訴し一定の被害救済を受けましたが,旧訴訟後にカネミ油症に認定された新認 定被害者らは,旧訴訟の原告らが受けた被害補償も受けないまま放置されていました。そのため,新認定被害者らが,少なくとも旧訴訟の被害者らと同等の被害 救済を求めるために本訴訟を提起しました。


判決は,カネミ油症事件の発生から20年以上が経過し権利が消滅している(除斥期間が経過している)として原告らの請求を棄却しました。  

しかし,カネミ油症事件は,国内で初めてPCBを経口摂取した食品被害事件であり,また,科学技術の進歩によりようやくダイオキシン中毒事件である ことが判明したもので,未だに十分に医学的知見が追い付けていない事件です。そのため,被害者らは,カネミ油症と認定を受けない限り,加害者である被告カ ネミ倉庫のみならず社会的にもカネミ油症患者として認められて来なかったという厳しい現実がありました。  

原告らは,医学及び科学の進歩につれて数度に亘って改訂された油症認定基準によりようやくカネミ油症患者として認定を受け,その被害救済を司法に求めているのです。


判決は,このような事実を顧みる事もなく,20年という除斥期間を形式的に適用して原告らの請求を棄却しました。原告らがようやく油症と認定されたのは,カネミ油症事件発生から20年以上経過した後です。  

原告らは,何らの落ち度もない消費者であり,医学及び科学の時代的限界によりカネミ油症との認定が遅れただけの被害者です。

判決の考えでは,原告らはカネミ油症との認定を受ける前に,訴訟を提起する必要があったことになります。これは,医学及び科学の時代的限界による不利益を原告らだけに押し付けるものであって著しく正義・公平に反します。

原告団及び弁護団は,控訴しており,今後,福岡高等裁判所で勝訴を勝ち取りたいと思います。

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