山口県美袮市産廃処分場使用差止申立て

2009年08月05日

1,山口県美祢市に産業廃棄物処分場(これから「処分場」といいます。)が建設されようとしていました。

建設予定の処分場は,単に素掘りの穴に産廃を埋め立てて覆土する,いわゆる安定型の処分場と呼ばれるものでした。

2,関係法令等によれば,安定型処分場で処分できるのは・廃プラスチック,・金属くず,・ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず,・ゴムく ず,・がれき類の五種類だけであり,上記五品目以外の産廃は高度の設備(遮水工及び浸出水対策措置等)を要する管理型又は遮断型の処分場で処分するものと されています。

安定五品目は化学的に安定した性質を持つため,化学変化により有害物質が発生することがないとされています。そのため,法令上,処分場に降り注い だ雨が地下に浸透していき地下水に混入することに対する対策や,処分場の地表を通って外部に流れ出る水への対策は要求されていないのです(もっとも現在で は安定五品目も有害物質を発生させるという指摘がされています。)。

3,本来,安定型処分場では,捨てられる産廃一つ一つについて安定五品目に該当するかを検査しなければならないはずです。ところが,実際には,荷台 にたくさんの産廃を載せたトラックを乗り入れて一気に穴の中に投棄しますので,産廃を一つ一つ手にとって確認する作業はできません。確認作業をしたとして も目視だけですぐに五品目以外の物質が混入しているか否かなんて分かりようがなく,多大な人件費がかかることから,安定型処分場において,安定五品目以外 の物質の混入を防ぐのは事実上不可能といっても過言ではありません。

4,本件処分場でも,安定型五品目以外の有害物質等を含んだ産廃が処分され,ここに降り注いだ雨によって有害物質が地下水に浸透し,付近に居住し井戸水で生活している人々の健康に甚大な被害を与える恐れがあったのです。

そこで,二〇〇七年十月,山口地方裁判所下関支部にその建設操業使用の差止の仮処分の申立をしました。

5,裁判の主な争点は,・安定五品目以外の産廃が同処分場に処分される危険性があるか,・仮に安定五品目以外の産廃が投棄された結果,処分場内で発 生した有害物質を含んだ雨水が同処分場外に流出するか,・その後川や地下水に混入する等により債権者の利用する水に混入して健康被害を起こす蓋然性がある かの三点です。

この点,山口地裁下関支部は,・について安定五品目以外が処分される蓋然性は高いとし,・有害物質を含んだ水が川に混入することも認めていなが ら,・について有害物質を含んだ水は微量であり,川の水で相当に希釈されていることからその水を債権者が利用しても健康を損なう蓋然性が高いということは できないとして,二〇〇八年四月,申立を却下する決定をしました。

この判断は従来の同種訴訟における立証構造とは全く異なる判断であるので,広島高裁に即時抗告をし,因果関係に関して改めて判例を積み重ねた主張を行い,事実面に関して細かい主張とその疎明資料を提出しました。 その結果,同年九月,広島高裁は,従来の判例で取られていた立証構造に基づき,・,・及び・についていずれも住民側の主張を認め,逆転の操業差止仮処分決定を出しました。

しかし,産廃業者は,この決定に従わない旨メディアを通じて公言し,操業を継続したことから,同年十月,間接強制を申立て,翌十一月,産廃業者は操 業する毎に住民らに対して一日当り四八〇万円を支払えとの間接強制決定が出されました。すでに本訴提起をしており,二〇〇九年一月に裁判がはじまります。

 今後とも良好な自然環境を後世に残していくため,当事者,弁護団,支援者の方々と共に闘いぬいていくつもりです。
 
 みなさんご支援のほど宜しくお願い致します。

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