大阪府の泉南地域を中心に石綿工場の労働者やその遺族などが、アスベストによる被害について国家賠償請求訴訟を提起していた「泉南アスベスト訴訟」。2014(平成26)年10月9日、最高裁は、国の規制権限不行使(局所排気装置を工場に設置するよう事業者に義務付ける規制を講じなかった)の違法性を認め、請求を認めました。
しかし、全国各地の石綿工場の労働者らが救済されたわけでもありません。
そこで、国(厚生労働省)は、最高裁判決を踏まえ、石綿工場の元労働者やその遺族に対し賠償金を支払うようになりました。
このほど、最高裁判決から3年も経ったことから、国は、ようやく重い腰を上げ、この制度について周知活動を強化することにしました。具体的には、「和解手続きの対象となる可能性のある方のうち、現住所等の確認が取れている756人に対しては、10月上旬にリーフレットを発送します。」と表明しています。
もっとも、この制度も裁判所への提訴が必要で、引き続き、このような提訴すら必要としない形で、アスベスト被害の救済が図られるよう国に対して求めていきます。
弁護士 池上 遊
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