2009年夏号 ソマリア沖への自衛隊派遣は憲法9条改定への地ならし

2009年05月28日

事務所ニュース

北九州第一法律事務所では,季刊誌「HOKKYU」を年に2回発行しております。 ここでは,その中から抜粋した記事をご紹介いたします。?

ソマリア沖の海賊の正体は?

  ソマリアで海賊が多発しているのは,ソマリアの内戦で国土が荒廃し,国民の多くが食べていけないことに根本の原因がありますが,日本をはじめ先進国がソマ リア沖で,魚の乱獲を行ったことや,核廃棄物を含む産業廃棄物をソマリア沖に不法に投棄してきたことに対し,ソマリアの漁民が反発し,海賊化したことも関 係しています。

自衛隊の派遣で 解決するのでしょうか?

 ソマリア沖の海賊は,欧米,中国などの軍隊が海賊対策に当たっているにもかかわらず,却って増加しているのが現実です。ソマリアの国土が安定し,国民が食べていける環境が整わない限り,海賊はなくならないのです。 そのために国連を中心とした経済協力・技術協力が必要です。平和憲法を持つ日本はその中心で活動すべきでしょう。 また,海賊の取り締まりは,警察活動ですから,軍隊を派遣するのではなく,ソマリアや周辺諸国の海上警察力の強化のために国際社会が協力することが現実的 で効果的な方法です。現に,マラッカ海峡では,各国が協力して警察力による海賊対策を行ってきましたが,大きな実績を挙げています。 自衛隊を派遣しても解決にはならない,むしろ次に述べる危険を考えると有害と言わざるを得ません。

成立した海賊対処法の 危険な内容

 今まで,海外の紛争地域に派遣された自衛隊の活動は,後方支援に限られ,武器の使用も正当防衛の場合などに限定されていました。
 ところが,海賊対処法では,武器使用の範囲が広げられ,海賊が警告に従わない場合には,海賊を殺傷することも可能とされています。
 また,自衛隊が救助する船舶は日本関連の船舶に限られません。
 さらに,この法律は,自衛隊の活動地域をソマリア沖に限っていませんので,海賊対策の名目で,世界のどこにでも自衛隊を出動させることができます。
 しかも,国会の承認も不要とされていますから内閣の判断だけで,緊急の場合は防衛大臣だけの判断で自衛隊を出動させることができるのです。
 かつてのテロ特措法やイラク特措法などの国会審議では,憲法九条との関係で,激しい議論が戦わされ,自衛隊を派遣するにしても,厳しい制限がつけられてき ました。ところが,対象が海賊に変わっただけで,自衛隊が今までできなかったことが可能になったのが今度の海賊対処法です。

憲法九条改定の危険

 海賊対策名目 で自衛隊を海外に派遣し,各国の軍隊と連携して行動し,場合によっては武力行使を行う。これを既成事実化し,今度は国際的なテロ組織と闘うために自衛隊を 海外に派遣する。そして,その障害となる憲法九条を改定する・・・このようなシナリオを改憲派は考えています。それはアメリカの望むところでもあります。 しかも,国会で多数を占める自民党と民主党は改憲派です。
 来年五月には,憲法改正国民投票法が施行されますから,このままでは憲法改定が現実のものとなりかねません。

海賊対処法の危険な内容を知らせ
憲法九条を守り,広げる活動を!
 
 核廃絶,軍縮は世界の流れです。日本は武力ではなく,平和的手段による国際協力に徹するというのが憲法の立場ですが,この立場こそ,世界の流れと一致するというべきでしょう。
 海賊対処法の危険な内容を知らせ,憲法九条を守り,広げる運動を強めていきましょう。

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