2012年新年号 民意が正確に反映する選挙

2012年05月28日

今なぜ改革といっているのか

 小泉構造改革によって,医療・年金・福祉などの社会保障は切り捨てられ,派遣労働の拡大で雇用破壊が深刻化し,貧困が大きな社会問題となっています。
 東日本大震災と原発事故への対応のたちおくれに,多くの国民が強い不満を抱いています。
 政権交代しても,政治の実態は,自公政権のときと変わりません。
 こうしたなかで,さらに強力な権限を持った政権を目指すのが,政治改革の目的です。そのために,内閣法制局長官や政府参考人の答弁禁止,与党議員の議員立法抑制などの国会改革とあわせて,比例定数を削減して限りなく小選挙区制に持っていこうとしているのです。
 反対世論を排除し,国会を予算や法案の追認機関におとしめ,安定政権を確保するためには,少選挙区制が望ましいのです。

国会議員ムダ論は誤りです

 国会で,居眠 りや私語をしたり,携帯メールをする議員の姿が見受けられるので,「ムダな議員は,減らしてしまえ」と考える国民が多いのも事実です。 こうした不適切な行為は,各会派と各議院が厳しく対処するなど自浄作用で改善すべきことで,だからといって議員数が多すぎるという話には直結しません。
 では,日本の国会議員は多いのでしょうか。【表2】をごらん下さい。人口10万人当たりの国会議員数で,決して日本が多いわけではありません。
 アメリカは少ないではないかとの見方もありますが,日本とアメリカでは国家の仕組みが全く異なるため,国会議員数の比較のみでは語れない特殊性がありま す。 アメリカは50州からなる連邦国家で,それぞれの州議会が強力な権限を持っており,防衛と外交以外の課税や公共事業,刑罰などほとんどのものは州議会が決 定します。 全米の州議会議員は5000人を超えるといわれています。国会議員1人当たり年間7000万円の税金が使われています。内訳は,歳費年間1560万円,文 書通信交通滞在費年間1200万円,秘書3名の給与や会派に渡される立法事務費年間780万円です。 文書通信交通滞在費は,適正に使用されているのかさえ検証されていません。ムダをなくすなら,まず検証しなければならないはずです。

そもそも小選挙区制は最悪の選挙制度 仕組みも問題

 それでは,小選挙区制はどのような制度なのでしょうか。一番わかりやすいのは,実際の選挙結果です。
 2005年の総選挙で自民党は小選挙区で圧勝しました。3252万票,得票率48%で,219議席(議席占有率73%)を獲得し,1議席獲得に必要な得票 数は約15万票でした。このとき全小選挙区に立候補していたのは日本共産党だけで,494万票,得票率7.3%を獲得しましたが議席はゼロでした。単純に 自民党並みの1票の価値で計算すれば約33議席,しかし実際はすべて死票でした。これこそ究極の不平等ではないでしょうか。
 小選挙区制は,憲法が定める「法の下の平等」に反する最悪の選挙制度です。

成立経過も大問題

 小選挙区制の導入は過去4度に渡って失敗してきました。しかし,細川内閣のとき,ウソとごまかし,密室裏取引で成立させたのです。
 当時,リクルート事件,佐川急便事件,金丸信自民党副総裁の脱税事件と金庫から出てきた金の延べ棒事件など,金権腐敗政治に多くの国民の怒りが爆発しました。 これを逆手にとって,「政権交代が可能になり,民意が反映する政治になる」「金権腐敗政治がなくなる」など,「政治改革」がマスコミをも含めて大々的に宣伝されました。
 こうした宣伝にもかかわらず,小選挙区制の危険を知った国民の反対運動に押されて,1994年1月21日,参議院で否決されました。その後開かれた両院協議会で合意できず,憲法と国会法にてらせば,小選挙区制法案は死んだと思われました。
 否決に驚いた財界やマスコミは猛烈に圧力をかけ,土井たか子衆院議長が斡旋して,細川総理と河野自民党総裁の「密室会談」が行われ,「総・総協定」を成立 させました。小選挙区300,比例区200というさらなる改悪をし,再び両院協議会を開いて可決,衆参両院で可決させたのです。誕生そのものがルール破り で大問題でした。

あるべき選挙制度は

 「国会は,国権の最高機関であって,国の唯一の立法機関」(憲法41条)です。そして両院は「全国民を代表する選挙された議員」(憲法43条)で構成されています。 この議員を選挙するとき,1票の価値に不平等があってはなりません。それは選出された議員の構成(議員数)が民意を正しく反映しなくてはならないからで す。民意が正しく反映された議員たちが,自らを選んだ有権者に代わって,その民意を立法と国政に反映させる,これが議会制民主主義の大原則です。議員定数 を減らすことは,国民の声が伝わりにくくなります。
 【表3】でわかるように,衆議院の議席480議席をすべて得票数が議席数に正確に反映される比例区とするならば,「少数政党」と呼ばれている共産党や社民党も,実際は中政党なのです。

なくすべきは政党助成金

 17年前,小選挙区比例代表制が導入されたとき,一緒に政党助成金も導入されました。
 「金権腐敗政治をなくすため,企業献金を5年後に廃止を目指す。そのために,国民の税金で政党助成を」との口実でした。
 政党助成金は,年間320億円の税金を山分けする制度です。共産党以外の政党が受け取っており,これまで5358億円が山分けされています。
 80議席の削減で56億円しか削減されません。
 「ムダをなくす」というなら,税金山分けの政党助成金をなくすのが先決ではないでしょうか。
 マスコミがこのことを指摘しないのは,政党助成金で選挙時のコマーシャルが行われ,この収入を失いたくないからではないでしょうか。
 議席が減らされても政党助成金の総額は変わりませんから,議員1人当たり約5000万円の税金を手にすることになります。
 企業献金は温存させ,国民に増税を押しつけ,自分たちは税金をフトコロに,こんなことを許してはなりません。
 比例定数削減に反対の声をぜひ上げていきましょう。

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