民事裁判手続のIT化について

2019年07月25日

1906分 民事訴訟のIT化(上地弁)民事裁判手続のIT化への検討・準備が進められています。 

 現在の民事訴訟手続では,基本的に,主張や証拠は書面で提出し,期日ごとに記録を持って裁判所に出頭し,判決言渡しは口頭で行われて,後日判決書が送達されるとされており,情報通信技術(IT)は,あまり活用されていません。 

 しかし,昨今ITは社会に広く普及しており,民事裁判手続にもITを活用すべきという意見は以前からありました。また,諸外国では,欧米を中心にIT化が進められています。 

 そのようなことから我が国でも,民事裁判手続のIT化を推進する方策について速やかに検討するということになり(未来投資戦略2017),昨年3月,裁判手続等のIT化検討会による「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」が公表されました。 

 その「取りまとめ」では,IT化の主な内容は,以下の3つとされています。

・e提出

→主張や証拠をオンライン提出に一本化し,訴訟記録を電子記録に一本化することなど

・e事件管理

→主張や証拠へ随時オンラインアクセスでき,裁判期日をオンラインで調整することなど

・e法廷

→ウェブ会議・テレビ会議の導入・拡大など

 ただ,これら「3つのe」の全てを実現するためには,関係法令の改正やシステム・ITサポート等の環境整備が必要となるものもありますので,実現段階に応じて3つのフェーズに分けて,順次,開始していくのが相当とされました。

 そして,まずフェーズ1として,現行法の下でウェブ会議等のITツールを利用した争点整理の試行・運用を開始することが挙げられ,来年の2月ころから,東京,大阪,福岡等の地方裁判所(本庁)などで運用が開始される予定になっています。

 数年後には全面IT化が実現し,民事裁判手続が現在よりも利用しやすいものとなることが期待されます。

弁護士 上地 和久

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