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離婚をお考えの方へ

離婚にあたって考えなければならないこと

離婚は、人生の大きな決断だと思います。離婚は結婚するよりも何倍も大変だと言われ、漠然と不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

離婚にあたって決めなければならないことをひとつずつ決めていき、不安を少しずつ解消していきましょう。

 

離婚の方法

まず、離婚の方法としては①協議離婚と②調停離婚の方法があるのでご紹介します。

(1)協議離婚

協議離婚は、協議により離婚の条件を定め、離婚届を役所に提出し、離婚することです。離婚に双方合意していて、条件についてももめない場合は、協議離婚による方法が一番スムーズです。

ただし、例えば養育費などの条件を口頭で決めるだけで、協議離婚した場合、その後支払いがされなくなった場合には調停を起こすなどの手続きが必要になってきます。

そのため、協議離婚であっても、離婚の条件(特に養育費等継続的に支払ってもらうもの)については、公正証書で定めておくことをお勧めします。公正証書で定めておけば、仮に不払いになったとしても、差押えの手続きを行うことが可能だからです。

協議をするにあたって弁護士が入り、離婚の条件を相手と交渉して決めることもあります。その場合は、弁護士として法的に適切な条件を決められることと、条件の交渉を相手と直接しなくて済むため精神的にも楽になるという点でメリットがあります。ただし、相手方と交渉しても、双方合意に達しない場合は、下記に述べる調停を起こす必要が出てきます。弁護士と交渉で話をまとめるのか、交渉せずに調停の席で話を進めた方がいいのかは相手の個性にもよるので、弁護士に依頼する場合はその点もよく相談されるといいと思います。

 

(2)調停離婚

調停離婚は、調停により離婚することです。手続きとしては、まず、家庭裁判所に、夫婦関係調停(離婚)の申立てを行います。調停で、離婚や離婚の条件などが合意できたら、調停調書を作成します。それを当事者のうちどちらかが役所に提出すると離婚が成立することになります。

調停離婚をすれば、調停調書で決められた養育費の支払いがなされないなどがあれば、差押え手続きをすることができます。また家庭裁判所では、主に2名の調停委員が、申立人・相手方それぞれから話を聞きますので、直接相手方と話さなくてもよいというメリットもあります。ただし、調停を申し立てると、1ヶ月に1回程度、裁判所に行かなければならなくなります。1回の調停にかかる時間は、場合によりますが、待ち時間を含め3~4時間程度です。どれくらいの期間で解決するかですが、3,4回で合意に至る場合もありますが、争点が多い場合などには、それ以上かかる場合もあります。

調停離婚の場合、当事者本人で調停することも可能です。ただ、弁護士を頼めば、調停の席にも一緒に弁護士が出席しますので、ご本人の主張を法的に整理して調停委員に伝えたり、争点について法的アドバイスができるので、調停段階でも弁護士に依頼するメリットはあります。

 

(3)裁判離婚

調停は、双方の意見を聞いて合意出来る点を探るというものなので、双方の言い分が並行線をたどる場合(典型的には、一方当事者はどうしても離婚したいが他方が離婚に絶対応じないという場合や、双方が親権者になることを譲らない場合など)には、調停は不成立となり、その後離婚調停を提起しなければなりません。

裁判離婚になる場合は、法的な争点が明確である場合が多いため、弁護士に依頼し、訴訟を進めてもらった方がいいと思います。

離婚の裁判を提起した場合であっても、裁判の中で和解という手続きで解決する場合もありますし、判決で裁判官に判断してもらうという方法もあります。

裁判にかかる時間はケースバイケースですが、半年から1年くらいと考えていたほうがいいでしょう。

 

離婚の際に決めるべきこと

離婚の際に決めるべきことは、主に下記のとおりです。

(1)離婚すること

双方がこれに合意しなければ、その他の条件を決められません。

(2)財産分与

夫婦が婚姻中に形成した財産は原則として夫婦が協力して形成したものであり、夫婦の共有財産といえます。離婚に際してこの夫婦共有財産を分けるのが、財産分与です。共有財産と認められれば、通常はそれを2分の1ずつ分けることになります。ただし、婚姻前に既に取得していた財産や相続によって取得した財産は共有財産とはならず、財産分与の対象にはなりません。

対象となる財産としては、不動産、預貯金、有価証券、保険、退職金等が考えられます。

(3)年金分割

年金分割は、夫婦の一方のみが働き、厚生年金保険等の被用者年金の被保険者等となっている夫婦が離婚した場合に、婚姻中働いていなかった一方が、働いていた他方の標準報酬等(これによって年金額が決まります)を一方の標準報酬等とすることができるとするものです。将来もらえる年金の半分を分けるという制度ではありませんが、標準報酬等の分割を受けることで、将来年金を受給する際に、分割を受けた方は、受給額が上がることになります。

年金分割は、夫婦の一方が働いていなかったとか、働いていてもわずかな賃金しかなかった場合などは、求めるべきでしょう。

(4)親権者

子どもがいる場合は親権者を決めなければなりません。兄弟がいる場合は、特段の理由がない限り、兄妹で親権者を分けることは避けるべきというのが家庭裁判所の基本的な考えです。

親権者が争点になった場合は、子どもの利益と福祉を基準として判断されることになります。考慮要素としては、父母側の事情として監護能力、精神的・経済的家庭環境、居住環境、教育環境、子どもに対する愛情の程度、これまでの監護状況、実家の資産、親族の援助の可能性などが考慮されます。子ども側の事情としては、年齢、性別、きょうだいの有無、子の意思、婚姻中の環境からどの程度環境がかわるのかなどが考慮されます。子どもが15歳以上であれば、子どもの意見も重視されます。よく、婚姻中は働いていなかった妻(夫)から、離婚すれば、経済的には夫(妻)より不利になるから親権は諦めなければならないのでしょうかという質問をされることがありますが、上記のとおり、親権者を定めるにあたっての考慮要素は、経済的事情のみではありません。どちらかというと経済的な事情よりも、これまでの監護実績等を重視する傾向があるようです。

調停で親権者が争点になった場合は、裁判所の調査官が、どちらが子の福祉の観点からして親権者にふさわしいのか判断するために、調査を行うことがあります。その場合は、調査官が自宅に訪問したり、子どもたちから直接意見を聞くということがあります。

(5)養育費

養育費は、養育費算定表を用いて決められます。双方の収入によっておおよその金額が決められます。毎月一定額を養育費として支払うという形で決められることが多いです。それに加えて進学や病気などで一時金が必要になった場合などは、負担割合を協議するといった条項を定めることもあります。

 

(6)面会交流

親権者もしくは監護者ではない親が子どもさんと面会するものです。一般的には、月1回程度会うことを認めると決めることが多いです。日程調整やそのための連絡方法の調整なども調停条項の中で決めることもあります。

(7)慰謝料

婚姻中のDVや、不貞で精神的苦痛を受けたということであれば、慰謝料請求が認められることがあります。ただし、相手が認めなければ、DVや不貞の証拠を提出しなければならなくなりますので、暴力を振るわれた際のけがの様子の写真や不貞の証拠など、証拠をきちんと取っておく必要があります。

 

一度ご相談ください

離婚を考えておられる方は、離婚後の生活について、たくさん心配なところがあると思います。相手との交渉を弁護士に依頼することで、話が進む可能性がありますし、不安に思っている点を相談することで精神的にも楽になるかもしれません。悩んでいるかたは一度弁護士に相談してみてください。