会社が倒産した方へ
会社が倒産したら,多くの場合その会社は事業活動をやめてしまいますので,従業員は今後,その会社で働いて給料をもらうことができなくなりますし,また,それまで働いた分の給料などが未払いになっているということもあるでしょう。
このような場合,どのような手立てをとることができるでしょうか。
まず,今後の収入についてですが,会社が倒産して職を失い,新しい就職先も決まっていないというような場合,雇用保険から失業給付を受けることができます。しかも,会社の倒産により離職した労働者は,特定受給資格者に該当し,待機期間終了後の3か月間の給付制限がなく,また,給付日数が優遇されています。
次に,以下のものが未払いとなっていれば,それらを請求することができます。
・退職時までの賃金,賞与
退職時までに働いた分の賃金や賞与を請求することができます。なお,遅延損害金の利率は,退職の翌日から年14.6%になります。
・解雇予告手当
30日未満の予告期間で解雇されたときは,30日に足りない日数分の平均賃金を請求することができます。
・退職金
就業規則や労働協約などで退職金を支給することやその基準が定められている場合,権利として発生し,請求することができます。
そして,会社に破産手続が行われている場合,上記のうち破産手続開始前3か月間の給料や,退職前または破産手続開始前3か月間の給料の総額に相当する退職金については,財団債権となり,優先的に随時破産管財人から支払いを受けることができますし,また,それ以外は優先的破産債権となり,一般の破産債権よりも優先的に配当されます。
しかし,上記のように優先される取扱いになっていても,そもそも会社に財産がない場合には,会社から支払いを受けることは事実上難しいでしょう。
このように,企業が倒産したために,賃金などの支払いを受けられない場合,独立行政法人労働者健康福祉機構に対し,立替払の請求をすることができます。なお,立替払の対象は,定期賃金と退職金で(賞与や解雇予告手当は対象となりません。),立替払される額は,未払い総額の8割です(ただし,年齢に応じて上限額があります。)。
一口に「倒産」といっても,裁判所で法的な倒産手続がとられる場合(その中でも,清算型の破産,特別清算と,再建型の民事再生,会社更生があります。)や,社長が夜逃げして会社が放置されているというような場合もありますし,また,会社が倒産状態となった場合,会社の状況は日々,(多くの場合,悪化の方向へ)変動しますので,とるべき手立ては会社の現状に応じて異なってきます。
そこで,会社が倒産した,または,倒産しそうという場合は,早めに弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。