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警察官による暴力は断じて許されない

クライアントのAさんから,逮捕されたので面会に来て欲しいと要請がありました。

当日の予定を済ませて警察署の留置場で面会しました。

Aさんの首筋には絞めた痕がくっきりと9本の筋となって残っていました。腕や胸にも痣が残っていました。

驚いて尋ねると,夕方取調室で2人の警察官から暴行を受けたとのことでした。 Aさんが疑われている事件は,窃盗。Aさんは全く身に覚えがなく,先に逮捕されていた知人が「Aさんも共犯である」と嘘の自白をしていることにもとづき逮捕されたものでした。

Aさんは,当然「自分は関係していない」と否認していました。

10日間の勾留が決定されたその日,2人の警察官が,取調室で,椅子に手錠でつながれた状態のAさんに襲いかかりました。Aさんは,床に倒され,頭を打ち付けられ,柔道の肩固めで絞め落とされそうになりました。

それでも,無実のAさんは嘘の自白をしませんでした。

Aさんは,事件直後と,面会終了後に病院に行き,傷害の診断書が出ています。留置場を管理する警察署が,Aさんの受傷状態の写真を撮影しています。

Aさんは,勾留を更新され23日間身柄拘束された後,窃盗事件については証拠不十分で不起訴となり釈放されました。

警察官による暴行は,特別公務員暴行陵虐罪という重罪です。

国家権力が,身柄拘束された市民に対し暴力を用いて自白を強要しようとするこのような卑劣な行為は断じて許されません。

面会の当日にAさんの告訴状を作り,検察庁に直告し,検察庁はこれを受理しました。

検察官が証拠を捏造する卑劣な事件もありましたが,警察署においてもこのような時代錯誤の手荒な捜査手法が未だにおこなわれていることに暗澹たる思いがします。

日本弁護士連合会は,密室捜査が潜在的に孕んでいるこのような弊害をなくすべく,捜査の過程を録画し可視化すべきであると主張しています。お隣韓国では既に可視化を実施済みです。

そしてこのような事件の再発防止のためには,検察官は本件を適正に捜査して起訴した上で,公開の裁判において警察官の犯罪を白日の下に晒し,第三者機関である裁判所によって適正に裁かれることが不可欠です。本件では,すでに福岡県警首席監察官が暴行を否定するコメントを出しており,組織内における監察には実効性を期待することはできません。検察官の適正な権限行使に大いに期待します。

追ってその後の進捗をご報告いたします。

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