高年齢者等の雇用の安定等に関する法律について
2015年4月に改正法が施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、企業は、65歳未満で定年を迎えた労働者に対し、①定年の引き上げ②継続雇用制度の導入③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じるよう義務付けられました。年金受給開始年齢を65歳に引き上げる代わりに、国がそれまでの高齢者の生活を企業に支えさせようとしたもので、企業にはこれに関連する助成金が支給されます。しかし、高年法は労働条件について何も触れておらず、使用者・労働者の自主交渉に丸投げしたため、高齢者の生活を破壊するだけの悪法となっています。
私が担当している事案では、定年前に継続雇用を申し入れていた労働者に対し、最大限働いても月額賃金が退職前の25%減、12万円(控除前)しか支給されない雇用契約が提示され、他の継続雇用者と同程度の賃金を支給するよう求めて裁判となっています(岡野バルブ事件)。また、先日は、同様に継続雇用後の賃金格差を争った事案について、東京高裁はそのような格差を不合理でないとしました(長澤運輸事件)。
定年前の労働条件変更の場面に比べ、定年後の継続雇用契約締結の場面では、労働者の劣位性はより大きくなります。労働条件法定主義により労働者保護を強めた憲法の理念を契約締結の場面だからという理由で潜脱しようとしているのです。
このような悪法は直ちに改正し、若年労働者の減少と高齢化の時代に対応した高齢者の雇用と福祉を守る政策の実現こそが必要です。
高年法の問題でお困りの時はいつでもご相談ください。
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