共同相続人が多数かつ他府県にも在住する場合の遺産分割に関する解決事例
依頼者属性(年代、性別、職業)
80代
相手方(年代、性別、職業)
30代から80代
請求・被請求の別
請求する側
主な争点
-
解決までの期間
-
相談に来たきっかけ
相談者自身による交渉が難しかったため。
事案の概要
相談者は亡親名義の不動産に住んでいましたが,相談者自身も高齢で施設入居を検討せざるを得なくなったことを機に,不動産の遺産分割協議を行おうと考えました。しかし,遺産分割協議を行う相手方(共同相続人)は10名近くおり,中には過去に仲違いした方,県外に住む方,手紙を出しても反応のない方もおり,相談者自身で協議を行うことが難しい状況でした。
解決内容
弁護士が相談者のご依頼を受けて代理人となり,すべての相続人に手紙を送りました。住所が不明な方については,戸籍謄本等を取りよせて調査しました。相続人全員と連絡が取れた時点で家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。半年ほどの調停手続を経て,遺産分割に関する合意内容がまとまったため,最終的には調停に代わる審判という手続により終了しました。その後,審判内容に従って不動産の処分が進みました。
解決のポイント
①交渉全体を任せられる
日常生活を送りながら多数の共同相続人と連絡を取る作業は大きな負担です。住所が不明な方については,弁護士による戸籍謄本等の取り寄せ等で円滑に調査することができます。そして,相続人間の利害関係を正確に把握し,協議に活かすことが可能です。ご依頼者に対しては,連絡がとれている状況を随時報告することを心がけました。
②相手方への説明も的確に行ってもらえる
住所が判明しても,過去の経緯や当事者間にわだかまりがあるなどで,手紙や電話による連絡がうまくいかないケースもあります。今回の事例でも,弁護士が粘り強く連絡を取り,遺産分割によるメリット・デメリットを丁寧にご説明することで相手方の信頼を得ることもでき,調停手続もスムーズに行えました。
③適切な手続をとることができる
今回は「調停に代わる審判」という手続をとらせていただきました。「調停に代わる審判」とは,家庭裁判所が相当と認めるときは,当事者双方のために衡平(こうへい)に考慮し,一切の事情を考慮して,事件の解決のため審判をすることを言います。本来は調停で合意が成立しない場合のために用意された手続ですが,今回のケースのように,遠方に住んでいて調停に出ることが難しい相続人がいる場合で,事実上合意内容がまとまっている場合に,便宜上利用されることがあります。このような手続の利用可能性も視野に入れながら調停手続を進めることも弁護士に依頼する利点であると考えます。