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免責不許可に対する即時抗告が認められた事案

破産および免責許可の申立てをしたところ、原審では免責不許可とされたところ、即時抗告が認められて免責が認められた事案について、報告します。

申立者は長らく病気を患って父母と同居しており、父母が高齢になると介護を担当しました。父の認知症による問題行動がひどく、申立人は強い介護ストレスを受けました。

申立人は、父母の援助を受けて、食材等も含めてカード利用で一括払い支払う生活に慣れていました。父母が年金収入だけになり、生活保護を受給するようになった後は、節約を心がけながらも以前と同様にカード払いで生活を続けていたところ、細々としたショッピング利用のために思いのほか債務が膨らんでしまいました。返済に窮し、やむなく一括払いからリボ払いに変更したものの、結局行き詰まって破産申立をすることになりました。過去に破産歴はありませんでした。

ところで、債務の取引履歴には、ソフトのダウンロード等明らかに日用品等生活費以外の利用が多少含まれていました。しかし、これは全体としては少額である上、介護ストレスを発散するための趣味への利用というやむをえない側面もあり、父の介護負担を裏付ける資料も裁判所には提出していました。ショッピング内容の記載された取引履歴も裁判所に提出しており、取引履歴を精査すれば、債務の大半はカード払いしていた日用品等の生活費であることもわかるはずでした。

しかし、裁判所は、破産原因は基本的に申立人の「浪費」であると決めつけた上、両親の食材購入等のためのカード払いが破産原因であると虚偽の事実を申し立てて老親に責任転嫁しており誠実義務違反であるとか、保護受給中に信用取引をする背信性は深刻であるなどと非難して、管財事件にもせずに簡単な審尋を経た上で裁量免責を認めずに免責不許可としました。

そこで、即時抗告審では、取引履歴等を細かく引用して原審の認定の誤りを主張したところ、裁判所は、債務の大半は申立人の主張どおり生活費であるのでそもそも免責不許可事由である「浪費」がない旨認定した上、免責不許可決定は取り消されて、免責許可決定という判断になりました。

以上

弁護士 吉武 みゆき

 

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