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労働時間・休日・有給休暇

1 はじめに

労働基準法は、労働時間及び休日について、以下のとおり、最低労働条件を定めています。そのため、変形労働時間等の一定の例外を除き、以下の基準を下回る労働契約は無効とされ、無効とされた部分は同法の定める基準が適用されます(労働基準法13条、以下「労基法」と言います。)。また、以下の基準に反して、労働者が時間外労働を行った場合、使用者には、割増賃金の支払い義務が発生します(労基法37条1項)。

①労働時間は原則として1日8時間、1週間40時間を超えてはならない(労基法32条)。

②休日は、原則として、週1回以上与えなければならない(労基法35条)。

 

2 労働時間について

労働時間は、原則として実労働時間で算定されます。「実労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間であり、実労働時間に該当するか否かの判断は客観的に定まり、労働契約、就業規則、労働協約等の定めにより左右されないとされています(三菱重工業長崎造船所事件・最判平成12年3月9日労判778号8頁)。

裁判例においては、作業の準備時間(三菱重工業長崎造船所事件・最判平成12年3月9日労判778号8頁)、手待ち時間(田口運送事件・横浜地相模原支判平成26年4月24日判時2233号141頁)、仮眠時間(大星ビル管理事件・最判平成14年2月28日労判822号5頁)、企業の行事への参加(八尾自動車興産事件・大阪地昭和58年2月14日労判405号64頁)が労働時間に該当するとされたものがあります。

 

3 休日について

労働契約上、労働者の労働義務が設定されていない日を「休日」と言います。上記のとおり、労基法上、週1回以上の休日の付与が要求されており、この最低労働条件としての休日を「法定休日」と言います。この法定休日において労働を行った場合、休日労働としての割増賃金が発生します(労基法37条1項)。

週休2日制など1週1日の法定休日を上回る休日が認められている場合、法定休日ではない労働契約上の休日を「法定外休日」と言います。法定外休日における労働は、労基法上の休日労働には該当しませんが、上記1①の基準を超える場合には、超過した時間が時間外労働となり、当該時間に割増賃金が発生します(労基法37条1項)。

 

4 年次有給休暇(年休)について

(1)年次有給休暇(年休)の発生要件

使用者は、雇い入れ日から起算して①「6か月間継続勤務」し、②「全労働日の8割以上出勤」した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならないとされています(労基法39条1項、同条2項)。また、雇い入れの翌年以降は1年ごとに以下の表のとおり年休権が発生し、最高で20日に至るまで発生します。

 

勤続期間 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
年次有給付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

年休は、1日単位での取得が原則ではありますが、労使協定を締結した場合には1年に5日の範囲内で年休の時間単位の取得が認められますし(労基法39条4項)、また、任意で半日とすることはでき、半日休暇を認める就業規則上の規定や慣行等がある場合には使用者は半日の有給休暇の請求についても応じなければなりません。

なお、2018年6月の働き方改革法の成立により、年休が10日以上付与される全ての労働者を対象として、使用者に当該付与された有給休暇のうち5日については基準日から1年以内の期間に労働者ごとに時季を定めて付与しなければならないとする、年休の時季指定義務制度がもうけられました(労基法39条7項)。

(2)労働者の時季指定権(労基法39条5項)

上記により発生した年休について、労働者が休暇の始期と終期を特定して使用者に通知をすることで年休は成立します。年休は権利ですので、取得にあたって使用者の許可は必要ありませんし、その目的を届け出る必要もありません。いつまでに時季指定をすべきといった法規制はありませんが、後述する時季変更権との関係もあるため、労使間の信義に則り、状況に応じて適切な時期までに時季の指定を行うことが望ましいでしょう。

(3)使用者の時季変更権について

労基法上、使用者は、労働者が指定した時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」とされています(労基法39条5項但書)。

「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、当該労働者のその日の労働が、所属する事業場のその日の業務運営にとって必要不可欠であり当該労働者が就労しないと事業場全体の業務が阻害される場合を言います。そのため、単に繁忙であるといった理由や日常的な会議に出席・報告が予定されている程度では上記時季変更ができる場合にはあたりません。

以上

弁護士 藤本 智恵