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死後離婚

1 意義

配偶者の死後に、姻族関係終了届を出して、亡くなった配偶者の姻族(親やきょうだいなど)との法的なつながりを裁ち切る手続を、いわゆる「死後離婚」といいます。

条文をみると、「夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了する意思を表示したときも、前項(離婚による姻族関係終了の規定)と同様である。」(民法728条2項)とあるので、姻族関係解消の意思を示すだけで姻族関係は終了するようにも読めますが、届出が必要な要式行為で、届出によって初めて効力を生ずるいわゆる創設的届出に属するとされています(「新版注釈民法(21)親族(1)復刻版」青山道夫・有地亨編・121頁)。

2 手続

手続は次のとおりです。

(1)本籍地か住居地の市区町村に姻族関係終了届を提出します。

(2)生存配偶者だけが届出を出すことができ、姻族は提出できません。

(3)裁判所や姻族の同意は不要です。

(4)提出期限はありません。

3 効果

姻族関係が終了しますが、死亡した配偶者との婚姻関係には影響しません。

(1)扶養義務との関係

姻族関係が終了していなければ3親等内の親族の扶養義務を命じられる可能性があります(民法877条2項)が、姻族関係を終了したことによりこのような可能性がなくなります

(2)戸籍との関係

戸籍には何も反映されず、姓も戸籍も変わりません。旧姓にもどしたい場合には別途「復氏届」を本籍地または住居地の市区町村に提出します。なお、自分の子供達と姻族との法律的な関係は切れません。

(3)相続権との関係

姻族関係終了は相続権に影響しません。そこで、配偶者の遺産を相続した場合でも財産を返す必要はありません。但し、祭祀財産(系譜[1]・祭具[2]及び墳墓[3]の所有権)を承継している場合には、当事者そのほかの関係人の協議でその権利を承継すべき者を定めなければなりません(民法751条2項、769条)。

[1] 家系図などが典型。[2] 仏壇や位牌、神棚、仏像など [3] お墓。敷地も含む。

(4)遺族年金との関係

遺族年金を受給中の場合引き続き受け取ることができます。

以上

弁護士 吉武 みゆき