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会社が倒産した場合の対処

1 はじめに

仮に労働者が会社に対して未払い賃金、解雇予告手当、退職金、損害賠償金等の請求権を持っていたとしても、会社が倒産して消滅した後では、回収することは出来ません。

このような請求権をあらかじめ確保するには、どのような方法が考えられるでしょうか。

 

2 経営悪化(倒産手続きが開始する前)の段階

⑴ 証拠資料の確保

会社が正式に倒産手続きを始めてしまうと、請求の根拠となる資料が散逸、処分されてしまうことが少なくありません。

そこで事前に、重要な資料を収集・確保しておく必要があります。たとえば、雇用契約書、就業規則(賃金規程や退職金規程なども含む)、労働協約、賃金台帳、従業員名簿、タイムカードや業務報告書などが考えられます。

⑵ 会社財産の調査

請求に見合った会社財産が存在する場合には、それが散逸しないように責任者に管理させる必要があります。

また、不動産登記簿、有価証券報告書、会社四季報等と非常貸借対照表を比較する中で隠し財産や申告漏れ財産が判明することもあるかも知れません。

⑶ 先取特権の行使

「給料その他債務者と使用者との間の雇用関係に基づいて生じた債権」には、先取特権が認められており(民法308条)、めぼしい会社財産に見当がついていれば、迅速かつ優先的に差し押さえることができます。対象となるのは、月例賃金、賞与など一時金、解雇予告手当、退職手当などです。

 

3 倒産手続き中の段階

⑴ 優先的な弁済

破産法において、①手続開始前3か月分の未払い賃金又はこれに相当する退職手当、②手続き開始後の給料、③解雇予告手当等の一部請求権は、破産手続き外で、特に優先的に弁済を受けることが出来ると定められています(専門用語で「財団債権」といいます。)。

また、上記以外の給料や退職手当ても、破産手続きで配当財産が確保されれば、優先的な弁済を受けることができます。

⑵ 未払賃金の立替払制度

会社が倒産して、賃金が支払われないまま労働者が退職した場合、未払い賃金の一部について、立替払が受けられることがあります。対象となるのは労災保険の適用事業の事業主に1年以上雇用されていた労働者であり、かつ、会社が破産申立て等をした日の6か月前の日から2年間の間に退職した労働者です。

対象者は、未払い賃金の80%(但し上限額あり)を、政府(独立行政法人労働者健康福祉機構)に立て替えて払ってもらうことができます。

 

4 おわりに

会社が倒産する場合、労働者には、上記のような様々な事情を考えながら、素早く対応することが求められます。ご希望や疑問がある方は、ぜひ一度専門家へご相談されることをお薦めします。

以上

弁護士 石井 衆介