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試用期間中に解雇されてもしかたない?

1 「試用期間」というと「お試し期間」のように見えて、解雇がいつでも自由にできるように見えるかもしれません。

ただ、実際には試用期間途中でも簡単に解雇して良いわけではありません。

労働者の能力や適格性などを見極めるために、雇入れ後の数か月~1年間、試用期間を設けるということがあります。

その場合も、本採用と同じで、労働者と会社の間で労働契約を締結していることに変わりはありません。労働契約の一方的な解約である解雇については、本採用における解雇の場合と同様にその有効性が問題となります。

とりわけ、上記のように労働者の能力や適格性などを見極めるという目的で試用期間が設けられているのに、その途中で解雇するという場合は、後述する試用期間満了後の解雇に比べ、簡単には解雇が認められないものと考えられます。

 

2 解雇予告手当制度の適用もあります。

試用期間中であっても雇入れから14日を超えれば、解雇予告手当制度の適用があります(労働基準法21条4号)。

したがって、労働者を解雇しようとする場合、会社は少なくとも30日前に予告をしなければなりません。予告をしない場合、会社は30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払わなくてはなりません。

 

3 試用期間満了後の解雇(本採用拒否)についてはどうでしょうか。

最高裁の判例では、試用期間満了時の解約権行使が留保されている、として、試用期間満了時の解雇(本採用拒否)については、通常の解雇と比較して解雇の自由が広く認められると判断したものがあります(最判昭和48年12月12日・三菱樹脂事件)。

 

4 「試用期間」という名目でなくても、労働者の適性などを判断するために、ひとまずは有期労働契約を締結し、問題がなければ継続して雇用するという合意がなされる場合もあります。そのような場合でも、そのような雇用期間を設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、試用期間が設けられた場合と同様に考えることとされています(最判平2年6月5日・神戸弘陵学園事件)。

以上

弁護士 池上 遊

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