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労働分野の時効について

1 はじめに
労働分野で発生する請求権にも、時効(一定期間経過後に権利が消滅してしまう制度)が存在します。
たとえば、賃金請求権、付加金請求権、退職手当請求権などの労働分野独自の請求権に加え、民法が適用されるパワハラやセクハラを受けた場合の慰謝料請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権、債務不履行に基づく損害賠償請求権)などです。
ご自身の権利を実現するためには、請求権が時効で消滅してしまう前に、行動を起こす必要があります。

2 法改正の影響
2020年4月1日より、新しい民法が施行されました。これに伴い、労働分野の時効を定めた労働基準法も改正されました。以下、旧法と新法をご紹介します。
⑴ 旧法では、①賃金請求権や付加金請求権は2年、②退職手当請求権は5年、③民法上の請求権は10年(但し、不法行為に基づく損害賠償の場合は3年)と、請求権によって取扱いが異なっていました。
⑵ 新法では、賃金請求権、付加金請求権、退職手当請求権、民法上の請求権の各時効が5年に統一されました(但し、不法行為については一部例外あり。)。
なお、法改正の影響が大きいため、当面の間は賃金請求権や付加金請求権の時効を3年とする経過措置がとられています。
⑶ ⑵の新法は、2020年4月1日以降に発生した請求権に適用されます。それ以前に発生した請求権には、法改正後も旧法が適用されますので、ご注意ください。

3 時効が迫っている場合の対策
賃金請求権であれば、5年(経過措置期間中は3年)の経過とともに、古い請求権から消滅してしまいます。また、それ以外の請求権も、時効期間を経過するまで何の対策しなければ、請求権は消滅してしまいます。
しかし、請求や訴訟提起など具体的な行動を起こすことで、時効の完成時期を遅らせたり(時効の完成猶予)、一から時効を算定し直させたり(時効の更新)することも可能です。このような場合は、ぜひ一度専門家へご相談されてください。

 

弁護士 石井 衆介