事務所へのご連絡は 093-571-4688までお気軽に

年金分割制度について

1 はじめに

 今回は、年金分割制度について解説します。夫婦のうち、夫は会社員等で厚生年金(以前の共済年金を含みます。)に加入しており、妻は専業主婦で国民年金にしか加入していないようなケースでは、老後に妻が受け取る年金が、夫よりも格段に低いという場合が多いと思います。

 しかし、夫が会社員等で働き厚生年金等を納めるることができたのには妻の功績も含まれるはずですが、離婚した際に功績が考慮されずに夫は年金が多く、妻が年金が格段に少ないというのは公平とはいえませんよね。

 そのようなことから、平成19年から年金分割制度が創設されました。

 

2 離婚時の年金分割制度とは

 離婚時の年金分割制度とは、離婚した当事者からの請求によって、夫婦であった期間中の厚生年金記録を分割することができるという制度です。

 支給される年金そのものを分割するものではありませんが、年金額を算定する基礎となる保険料の納付実績を分割するものですので、分割を受けた方は、その分、将来受け取る年金額が増えることになります。

 

3 分割の方法について

 離婚時の年金分割には、①合意分割と②3号分割の二種類があります。

 

① 合意分割

 合意分割は、分割をする厚生年金記録の按分割合を、当事者の合意により決めるものです。話し合いをしても合意が成立しない場合などには、当事者の一方は家庭裁判所に、按分割合を定めることを求める申立てをすることができます。

 合意分割の場合も、よほどの事情が無い限り0.5の割合で分割するのが実務です。

 

② 3号分割

3号分割は、平成20年4月1日以後の被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)であった期間中の相手方の厚生年金記録を、被扶養配偶者からの請求により、2分の1に分割するものです。この場合は、相手方との合意は必要ありません。本人だけで手続きすることができます。

 

4 請求できる期間について

 離婚時の年金分割は、原則として離婚してから2年以内に請求しなければなりません。

 期間制限がありますので、離婚と同時に年金分割も手続きしてしまう方が良いでしょう。

 

5 最後に

 年金分割は制度や手続き自体よく分からない方も多いと思います。離婚の際には年金分割ができるかは必ず検討したい項目になります。離婚に際して請求できる項目に漏れがないかなど不安に感じる方は、弁護士にご相談されることをお勧めします。

以上

弁護士 田篭 亮博

コラム関連記事はこちら

法律コラム関連記事はこちら