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不在者財産管理人選任申立て

所有土地の一部に登記名義人が所在不明な不動産があり、今後の管理の便宜のためにも購入等により登記名義を移転しようということになりました。

このような場合に考えられる制度して、不在者財産管理人制度があります。

不在者管理人制度とは、「従来の住所又は居所を去って容易に帰来する見込みのない者(不在者)が従来の住所または居所に財産を放置し、財産の管理人を置かなかったかあるいは置いても本人の不在中にその権限が消滅した場合に、不在者の残務を管理し、もって本人の利益のみならず同人の相続人・債権者など利害関係人の利益を保護するため、法が設けた利益制度である。」(東京地方裁判所昭和56年10月23日)

もっとも、不在者財産管理人選任申立てをするには、申立人は「利害関係人」(民法25条1項)にあたらなければなりません。

「利害関係人」とは。不在者の財産の管理保存について、法律上の利害関係を有するものとされています。

例えば、①不在者とともに共同相続人となっている者、②不在者の債権者、担保権者、③不在者の財産を時効取得した者、③生命保険の解約や満期保険金の受取を目的とする者、④境界画定を求める隣接地の所有者、⑤不在者の財産を買収しようとする国、地方公共団体などが、これにあたるとされています。

この点、⑤は、要するに公共事業による場合ですが、これに対して「私企業による土地開発等の場合には、事業の営利性、不在者財産管理の法的性格等の観点から、一般的に利害関係人を肯定すべきかについては疑義がある」(「財産管理人選任等事件の実務上の諸問題」司法研究報告書第55輯第1号/司法研修所平成15年3月)とされています。

そこで、単に購入を希望する土地があるが所有者住所不明というだけでは、不在者財産管理人選任申立ができないリスクがあるということになります。

但し、大分家審昭和49年12月26日は、不在者の所有土地を含めた周辺一帯について、既に宅地造成工事をほぼ完了している宅地造成販売業者からの管理人選任の申立てについて「利害関係人」である旨を肯定しました。これは、不在者の承諾なしに不在者の所有土地に造成をしたことになり、損害賠償その他の法律関係が発生していることから、「利害関係人」であることが認められました。

本件については、取得時効の主張をしない方針をとったため、それ以外の利害関係を主張する必要がありました。本件では単なる購入希望にとどまらない、所有土地との関係や不在者の土地の形状等についても主張しましたが、最終的には境界画定の利益があるという主張により「利害関係人」であることが認められて、不在者財産管理人が選任されました。

以上

弁護士 吉武みゆき