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養育費について

夫婦に子どもがいる場合、離婚する場合は、親権者と養育費を定める必要があります。今回は、養育費がどのようにして決められるのか、支払いがなされない場合にどうすればよいのかについて、ご紹介します。

1 養育費とは?

養育費は、子どもが健やかに成長するために必要な費用です。具体的には衣食住に必要な経費、教育費、医療費などです。離婚しても親であることは変わりませんので、扶養義務があります。そのため、子どもと離れて暮らす親は、子どもを実際に養育する親(監護する親)に養育費を支払わなければなりません。

2 養育費はどうやって決められる?

養育費は、両親の経済力(収入)、子どもの年齢、子どもの人数に応じて決められます。

裁判所が養育費算定表を公表しているので、これに基づいて決められることが多いです。

この算定表は裁判所のホームページで公開されています。例えば、子と離れて暮らす親の年収(源泉徴収票の支払金額)が550万円、子を監護する親の年収(同上)が100万円、14歳以下の子が2人のケースでは、養育費は二人で8万円~10万円となります。

養育費の終期は、成人年齢が18歳になった現在でも、20歳までと決めることが多いようです。

3 養育費取り決め方法によって差し押さえできるかどうか決まる?

養育費の金額は、当事者間でよく話し合うことが大事です。当事者間で協議し合意できた場合、合意した内容で公正証書を作成するのがよいでしょう。当事者間の合意書や口約束だけだと、仮に支払われなくなってしまったときに、調停を起こさないと強制執行の手続きができません。もし、公正証書があれば、給与の差し押さえ等の強制執行が可能になります。

協議ができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停の中で話し合うことができます。調停で養育費を定めた場合も、支払われなくなったときは強制執行が可能です。

4 養育費が支払われなくなった場合の対処方法は?

支払い義務者が勤めている人であれば、給与の差し押さえを検討すべきでしょう。通常、給料債権の差押えは給料の手取り額(税金や社会保険料等を控除した後の金額)の4分の1までというのが原則ですが,婚姻費用や養育費の場合には2分の1まで差し押さえることが可能です。

仮に勤務しているようだが、勤務先がわからない場合は「第三者からの情報取得手続」を利用すれば判明する場合があります。これは、裁判所から市町村や日本年金機構等に照会をして、債務者の勤務先についての情報を取得できる制度です。この手続きをして、勤務先を明らかにした上で、給与差し押さえの手続きをする必要があります。

自営業者の場合は、支払い義務者の預金口座を差し押さえることを検討すべきでしょう。預金口座がわからない場合は第三からの情報取得手続により、預貯金口座の情報(支店名、口座番号、残高)を得ることができます。どこの金融機関に照会をかけるのか特定する必要があるので、口座を持っていそうな銀行をいくつか特定して照会をかけます。残高が十分ある口座が判明すれば、その預金口座を差し押さえることができます。

5 養育費は変更できるの?

養育費を取り決めたときとは事情が変わったとして養育費の増額もしくは減額を求めることができます。これも当事者間で協議できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。事情変更としてよくあるのが、収入の増減です。その他には、実際に養育している親が再婚して子と養子縁組を結んだとか(減額事情)、反対に離れている親が再婚し子どもが増え扶養する人数が増えた(減額事情)などです。

6 さいごに

海外では、養育費が支払われない場合は、国が立て替えて支払い、支払い義務者から徴収するという仕組みをとっているところもあります。日本ではそこまでの制度はできていませんが、例えば北九州市では、「養育費確保サポート事業」があり、保証会社と養育費立て替え契約を行い、その際に負担しなければならない保証料を市が負担するという事業も行っています。日本でも徐々に離婚後の父子・母子家庭が養育費不払いによって困窮状態に置かれることがないよう取り組みがなされてきています。

ただ、いずれにせよ、離婚時にきちんと取り決めをしておくこと、公正証書の作成ないしは調停を申し立てて調停調書を作成しておくことは大事なので、今回ご紹介したことが参考になれば幸いです。

以上

弁護士 諸隈 美波

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