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離婚と氏

1 夫婦の氏

婚姻によって名字(以下「氏」と言います。)を改めた夫又は妻は、離婚したことによって法律上当然に婚姻前の氏に戻ります(民法767条1項、771条)。原則として、婚姻前の戸籍に入籍し、その結果、旧姓に戻ることになります。なお、婚姻前の戸籍が除籍されている場合には、その戸籍に入籍ができないので、新たに戸籍を編製しなければなりません。

婚姻によって氏を改めた夫又は妻が離婚の際に称していた氏を使い続けたい場合には、離婚の日から3か月以内に、「婚氏続称の届出」をする必要があります(民法767条2項、771条)。氏の変更のためには本来裁判所の許可が必要となりますが、婚氏続称の場合は、家庭裁判所の許可を要することなく、婚姻前の氏に戻った者の本籍地又は届出人の所在地のいずれかの市町村に届出をすることで氏の変更が認められています。離婚から3か月が経過してしまった場合には、原則どおり、家庭裁判所で氏の変更許可を経たうえで、変更の届出をするしかありません。その際に氏の変更が許可されるためには、「やむを得ない事由」が必要とされています。

 

2 子の氏

両親が離婚したことによって当然に子供の氏が変更されるわけではありません。そのため、親権を有する親が婚姻前の氏に戻る等した場合に親権者と子供の氏が異なることになります(上記婚氏を続称した場合にも、その親と子供の氏は異なることになります。)。子供と親の氏が異なっている場合、子供はその親の戸籍に入ることができません。そのため、離婚の際に親権者になったとしても子供を自分の氏と同じにしなければ、自分と同じ戸籍に入れることはできません。

そこで、氏を変更した親が子供を自分の戸籍に入れるためには、子供の住所地を管轄する家庭裁判所に、子供の氏の変更許可申立てをする必要があります(民法791条1項、同条3項)。

 

3 まとめ

以上のように、夫婦の氏又は子の氏を変更する場合に裁判所での手続きが必要になる場合がありますので、その際は専門家である弁護士に一度ご相談ください。

弁護士 藤本 智恵

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