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婚姻費用・養育費の算出方法

1 養育費・婚姻費用の計算方法

別居や離婚する場合、婚姻費用(生活費)や養育費がいくらになるのかは気になりますよね。婚姻費用・養育費の金額を概算で知りたい場合は、簡易に算定できる算定表を利用するとよいでしょう。他方、概算ではなくよりより細かく知りたい場合は、計算式に当てはめることで算定表よりも精度が高く計算できます。それぞれメリット・デメリットがありますので用途に合わせて使い分けて頂くのが良いと思います。

 

2 簡易的な算定方法

まずは簡易的な算定方法についてです。この場合は裁判所で公開されている婚姻費用・養育費算定表を利用します。

婚姻費用・養育費算定表 | 裁判所

例えば、下記は養育費・子1人表(子0~14歳)の表です。

 

 

表の見方としては お互いの収入の位置から線を戻し クロスしたところが 概算の金額になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば養育費の計算で、夫の収入が500万円、 妻の収入が200万円、 子供が1人(0歳から14歳)のケースを見てみます。該当箇所のみ拡大しています。

〇養育費・子1人表(子0~14歳)の表抜粋拡大

 

この場合 お互いの収入がクロスした部分は4万から6万円の範囲になります。 そのため 概算の養育費の相場は4万円~6万円になります。

 

 

 

 

 

 

3 養育費の具体的な計算方法

では、算定表ではなくしっかり養育費を計算してみましょう。

(1)基礎収入を把握する

計算に必要な情報はお互いの基礎収入です。

基礎収入については前年度の源泉徴収票の「支払金額」(控除前の金額です)に基礎収入割合という係数を掛けます。起訴収入係数は次のように決まっています。

(基礎収入割合)

収入(万円) 係数
0~75 54%
~100 50%
~125 46%
~175 44%
~275 43%
~525 42%

例えば、年収500万円の場合は500万円に42%をかけた210万円が基礎収入になります。年収200万円だと200万円に43%を掛けて88万円となります。

(2)生活費指数を確認する

次に生活費指数を確認します。この生活費指数は次のように決まっていますのでその数字をそのまま利用します。

親       100

子(14歳以下) 62

子(15歳以上) 85

(3)計算式に当てはめる

養育費の計算式は複雑ですが、次の式を利用します。手計算だと大変なのでExcel等を利用すると計算が楽にできます。

(計算式)

養育費年額=義務者の基礎収入×(子の生活費指数)/(義務者の生活費指数+子の生活費指数)×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

養育費月額を出すため上記を12ヶ月で割ります。

(4)具体的計算例

この式に参考例(養育費の計算で、夫の収入が500万円、 妻の収入が200万円、 子供が1人(0歳から14歳)のケース)を当てはめてみましょう。基礎収入は(1)で計算したとおり、夫が210万円、妻が88万円です。

養育費年額=210×62/(100+62)×210/(210+88)=56.6万円

養育費月額=56.6÷12=約4.7万円

計算すると養育費は4.7万円と計算され、簡易な養育費算定表の4万~6万円に一致しますね。

 

4 婚姻費用の具体的な計算方法

次に、婚姻費用(生活費)も同様にしっかり計算してみましょう。計算式が異なりますが、計算方法は概ね養育費と同じです。婚姻費用とは離婚前に配偶者や子の生活費のことです。離婚前は婚姻費用、離婚後は養育費となります。

(1)基礎収入を出す  養育費と同様です。

(2)生活費指数を計算する  養育費と同様です。

(3)計算式  養育費と計算式が異なります。

(計算式)

婚姻費用年額=(権利者の基礎収入+義務者の基礎収入)×(権利者グループの生活費指数)/(権利者グループの生活費指数+義務者の生活費指数)-権利者の基礎収入

婚姻費用月額を出すため上記を12ヶ月で割ります。

(4) 具体的計算例

この式に参考例(夫の収入が500万円、 妻の収入が200万円、 子供が1人(0歳から14歳)のケース)を当てはめてみましょう。基礎収入は上記で計算したとおり、夫が210万円、妻が88万円です。生活費指数は父、母は100、子は62です。

婚姻費用年額=(88+210)×(100+62)/(100+62+100)-88=96.2万円

養育費月額=96.2÷12=約8万円

計算すると8万円の婚姻費用と算定されます。ちなみに、ここでは具体的に示しませんが、簡易算定表で算定すると8万円~10万円の下の方になりますので計算結果に一致します。

 

5 簡易算定表と計算式で計算する場合のメリット・デメリット

簡易算定表を利用すると複雑な計算をせずとも概ね養育費の相場が把握できます。そのため簡易に相場を知りたい場合にはとても便利です。他方、簡易算定表では養育費に金額に約2万円の幅がありますのでざっくりとした金額になります。より詳細に知りたい場合はしっかり計算する必要があります。しっかり計算すると1000円単位の幅で養育費の相場を把握することができます。ただ、計算が複雑です。

どちらもメリット・デメリットがありますので目的に応じて使い分けるのが良いでしょう。

 

6 まとめ

養育費と婚姻費用の基本的な計算方法を解説しました。養育費と婚姻費用の相場が分かっていると協議をスムーズに進めることができますので事前に把握しておいた方が良いでしょう。もっとも、収入が給与ではなく事業収入の場合や、年金収入があるの場合、子どもが多い場合など特殊なケースは上記の計算では算定出来ませんので個別に弁護士にご相談頂ければと思います。

弁護士 田篭 亮博

 

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