解雇について②
ある日あなたが解雇処分を言い渡された場合、どのように対応すべきでしょうか。後々になって不利にならないよう、是非知っておいてください。
1 解雇直後の対応
- 退職願、合意書、誓約書などは作らない
解雇する際、会社関係者から何らかの書面に署名押印することを求められることがあります。しかし、この書面は、退職を認める、今後裁判で争わない等、労働者にとって後々不利になる内容のものが多いです。また、解雇の言い渡し直後は、混乱してしまうことが多く、書面の内容を十分に理解して行動することが難しいです。
よって、その場では書面は作らず、持ち帰りとするか、又は作成自体をお断りしてください。
なお、同様の理由から、退職することを前提とする請求(退職金を求める、解雇予告手当の請求など)も避けるべきでしょう。
- 解雇理由と根拠規程を確認
解雇の判断に至った理由は、言い渡しを受けた際、必ず確認してください。口頭での説明は証拠が残りませんので、「解雇理由証明書」を発行するよう求めてください(発行することは、会社側の義務です。)。
また、解雇するにあたり、就業規則等の根拠規定に基づく場合には、その内容が分かるよう就業規則等を開示するよう求めましょう(労働者が内容を確認できる場合には、自主的に確認しておきましょう。)。
- 弁護士への相談
解雇を争って会社側と交渉や裁判をする場合、速やかに弁護士にご相談いただき対策を検討する必要があります。
また、解雇を受け入れる場合であっても、解雇に伴う身辺整理や事務連絡等、労働者にとって精神的負担となるやりとりが必要となり、弁護士にご依頼いただくことが適切な事案もあります。
いずれの場合でも、まずは一度弁護士へご相談いただくのが望ましいでしょう。
- 雇用保険(失業保険)の手続き
解雇された労働者は、失業保険を受給することができます。
解雇を争う場合でも、当面の間は給与支給が止まってしまいますので、雇用保険の仮給付を受けましょう。
2 解雇を争う場合の請求内容
- 従業員としての地位確認
解雇が無効であれば、雇用契約が続いていることになり、あなたはこれまでとかわらず、従業員としての地位が続いていることになります。
その会社で引き続き働くことを希望する場合には、この地位確認を主張します。
- 解雇の撤回
懲戒解雇はもちろん、普通解雇であっても、今後の就職活動には悪影響を及ぼします。そこで、会社に復帰するつもりがない方であれば、解雇ではなく自主退職に変更するよう主張します。
- 解雇期間中の賃金請求
解雇されて出勤できなくなった場合、後に解雇が無効であると決まると、 復職までの期間の未払い賃金の支払いを請求することができます。
但し、その期間に別のアルバイト等をして収入を得た場合、その収入は解雇されなければ得られなかったものなので、控除しなければなりません。
- 慰謝料
解雇が解雇権濫用にあたり、違法・無効と判断され、特に悪質な事案であれば、慰謝料の請求が認められることがあります。但し、地位の回復と未払い賃金を支払ったとしても回復できない特別な事情がある場合に限定され、金額も低水準となることが多いようです。
- その他
以上に加え、会社が残業代を支払っていない場合に併合請求をしたり、職場復帰に代えて、本来であればその職場で得られるはずであった利益(逸失利益)を請求することもできます。
また、職場復帰にあたって、職場環境を調整したり、解雇撤回について同僚への説明を求めたりすることもあります。
以上
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