事務所へのご連絡は 093-571-4688までお気軽に

遺留分とは(制度概要)-改正相続法による

1 遺留分とは

遺留分とは、亡くなった方が有していた相続財産について、相続人にその一定割合の承継を保障する制度のことをいいます。最低限の保障分と言い換えることもできます。

2 遺留分の割合

民法では、遺留分が認められる場合とその場合の遺産に占める割合について、以下のように定めています(民法1042条1項)。

・被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

・兄弟姉妹以外の法定相続人には以下の割合による遺留分が認められます。

A 直系尊属のみが相続人である場合 →3分の1

B 上記のAの場合以外の場合    →2分の1

例えば、夫Aが亡くなって、妻B、長男C、長女Dが相続人になったというケースを考えます。この場合、法定相続分としては、妻Bが2分の1、長男Cが4分の1、長女Dが4分の1となります。

しかし、夫Aが、妻Bにすべての財産を相続させるという遺言をしていた場合はどうでしょうか?この場合、遺言にしたがって、妻Bがすべての財産を取得することになります。しかし、長男Cと長女Dには遺留分=最低限の保障分として、それぞれ8分の1(法定相続分1/4×遺留分割合1/2)の遺留分があります。そこで、長男Cと長女Dが望むのであれば、妻Bに対し、遺留分侵害分を支払うように請求をすることができるのです(これを「遺留分侵害額請求」といいます)。

なお、遺留分侵害額請求をするかどうかは相続人の自由であり、必ず行使しなければならないものではありません。

 

2 遺留分の行使期間

遺留分侵害額請求は、「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」、つまり亡くなった事実と、遺言等によって自分の遺留分が侵害された事実を知った時から1年間行使しないときは、時効により消滅します。

また、相続開始の時、つまり亡くなった時から10年を経過したときも消滅します。

この点は十分注意が必要です。

 

3 改正相続法

以前は、遺留分を行使する方法として、「遺留分減殺請求」という制度が採用されていました。この制度では、遺留分の権利が行使された場合、その範囲で遺言による贈与等の効力が消滅し、遺留分の権利を行使した者に権利(物権)が帰属する仕組みになっていました。例えば1のケースで遺産の中に不動産があった場合、長男Cと長女Dが遺留分の権利を行使すると、不動産のうち持分8分の1が長男Cに、持分の8分の1が長女Dに帰属して、不動産が共有状態になるという扱いでした。例外的に、価額弁償といって、お金で精算する方法が認められているに過ぎませんでした。

これに対して、2019年7月1日施行の改正相続法では、「遺留分侵害請求」という制度に変わりました。これは、上記のケースで、遺留分の権利を行使した者に不動産など財産の持分そのものが帰属するのではなく、その侵害額に相当する金銭債権が発生するという制度です。つまり、お金による精算が原則となりました。

改正法は、施行日、つまり2019年7月1日以降に開始された相続が対象です。2019年6月30日以前に死亡しているケースについては改正前の規定が適用されますので、ご注意ください。新旧の法律で要件や効果に違いがありますので、適用関係も含め弁護士へのご相談をおすすめします。

 以 上

ご相談予約はこちら▼

https://kd-lo.gr.jp/inquiry/

 

電話:093-571-4688

コラム関連記事はこちら

法律コラム関連記事はこちら