借金の時効について
Q 今から10年ほど前に、生活が苦しくてサラ金業者であるS社から借金をしました。その後失職してしまい、ここ7~8年くらいは全く返済ができていません。
先日、自宅宛に、S社から「訴訟予告最終通知」という書類が届きました。借金と延滞金を全額返済しなければ、裁判や差押をすると書いてあります。今の収入ではとても返済ができませんが、どうすれば良いでしょうか。
A 返済ができなくなった時点から5年以上が経過している場合、借金が消滅時効となっている可能性があります。消滅時効となっている場合には、S社に対して時効の主張(援用)をすることによって、借金を消滅させることができます。
Q S社からは、今回の「訴訟予告最終通知」の前にも、数か月に1回請求書が届いていました。この場合は時効にはならないですよね?
A その場合でも時効になっていると考えられます。
裁判外で請求を行うことを、法律上「催告」と呼びます。催告には時効の完成を6か月猶予する効果しかなく、この6か月の間に裁判等の手続をしない限り、時効は完成します。よく誤解される点ですが、催告から6か月以内に再度催告をしても、効力はありません。催告を繰り返すことによって時効を止め続けることはできないのです。
Q 書類が来た後にS社の担当者と電話で話したときに、とりあえず毎月3000円支払ってもらえれば、裁判を起こすのは待つと言われました。裁判されるのが怖いので、急いで支払ったほうがよいでしょうか。
A 支払をする前に、必ず弁護士に相談してください。
借金の時効が完成している場合でも、その後に「債務の承認」をしてしまった場合には、時効の主張ができなくなるという最高裁判例があります。S社に返済をすることは、たとえ数千円であっても、「債務の承認」にあたってしまう可能性があります。
Q 時効になっていると聞いて安心しました。今後はどんな書類が来ても放置して構わないですよね?
A 裁判所から書類が来たのに放置してしまうと、借金が時効になっていたとしても、借金の返済を命じる判決が出てしまいます。したがって、裁判所からの書類については絶対に無視してはいけません。
ただし、最近は、「民事訴訟管理センター」など、裁判所からの書類と間違わせるような名前で手紙を出してくる業者もいます。自分だけで判断せず、弁護士に相談するようにしてください。
以上
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