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遺言と生前贈与の違い

1 ご自身の財産をどなたかに無償で譲ろうと考える場合、方法として、①亡くなる前にその財産を贈与する方法、②遺言を作成し、亡くなった時点で遺言に基づいて財産を譲る方法があります。この2つの違いを説明します。

 

2 生前贈与

まず、生前に、ご自身の意思で、財産を贈与する方法があります。

この方法のメリットは、贈与時点で確定的に財産を譲ることができることです。遺言と異なり、亡くなるまでの不確実な要素を排除できます。

他方、この方法のデメリットは、贈与を受けた方に贈与税がかかることです。その1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた金額(課税価格)に対して、贈与税がかかります。贈与税は、一例として、課税価格が400万円超~600万円以下で30%マイナス65万円、課税価格が600万円超~1000万円以下で40%マイナス125万円というようにかなり高額で、税率は最大55%になります。贈与税を減らすためには、何年かに分けて贈与する等の工夫が必要となりそうです。

また、贈与された財産が高額である場合、「特別受益」として、将来亡くなられた場合の相続手続に影響することがあります。簡単に言えば、生前にたくさん財産をもらった分、相続の際にもらえる財産が少なくなるということです。

 

3 遺言

別の方法として、遺言書を作成し、その遺言書の中で、財産をどなたかに相続させることを決めるという方法があります。

この方法のメリットは、税金面です。相続税については、「3000万円+600万円×相続人の数」という基礎控除があります(本執筆時点)。この範囲内であれば相続税はかかりませんので、生前贈与の場合と比較すると、大きなメリットがあります。

他方、デメリットは、財産を譲る効果は亡くなられた時点で発生するため、死亡までに不確定の要素があることです。例えば、預金を相続させるという遺言をしていても、亡くなるまでに預金の額が変動する可能性があります。また、不動産を相続させるという遺言をしていても、何らかの事情があって死亡前にその不動産を手放した場合は、遺言に書いてあったとしても、その不動産を相続することはできません。

生前贈与と遺言、それぞれのメリットとデメリットをよく理解して、どちらかを選択、あるいは組み合わせて手続を行う必要があるでしょう。

弁護士 今里 晋也

 

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