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賃貸住宅退去時のトラブルについて

原状回復義務とは?

借主は、賃貸住宅を退去する際、物件を元の状態に戻して貸主に返さなければいけません。これを「原状回復義務」といいます。

この原状回復義務については、貸主と借主のどちらが修繕費等の費用を負担するか、またその金額等でトラブルになることが多いため、ここで基本的な考え方を確認しておきましょう。

 

借主が原状回復費用を負担するのはどのような部分か?

まず、最も大事な考え方は、「普通に使用して劣化したり汚れたりした部分は、借主が原状回復費用を負担する必要はない」ということです。建物や設備が経年変化によって自然に劣化した部分や、通常の使用でも劣化を避けられない部分は、借主が原状回復費用を負担する必要はありません。

言い換えると、借主が原状回復費用を負担しなければならないのは、「通常の使用を超えるような使用による毀損・汚損部分」となります。例えば、過失で建物や設備を壊してしまったり、著しい清掃不良や喫煙によって汚損が生じてしまったような場合です。

 

借主は原状回復費用の全額を負担する必要があるのか?

上記の考え方によれば、普通に使用して劣化したり汚れた部分については、借主の負担額は「ゼロ」です。

それでは、通常の使用を超えるような使用によって壊れたり汚れた部分については、借主は修繕費用の全額を負担しなければならないのでしょうか。実はそうではありません。建物や設備の経過年数を考慮して、借主の負担割合を決めることになっています。

例えば、①賃貸借契約時に貸主により新品のカーペットが敷かれ、②契約から3年後に借主が退去し、③退去前に借主が過失によってカーペットを汚していて、④その交換費用が1万円であった、というケースを考えてみましょう。カーペットは、税法上の耐用年数が6年とされています。そこで、3年間が経過すれば、何もしなくてもその価値は半分になると考えます。よって、借主が負担するのは、1万円×50%=「5000円」ということになります。

同じ事例で、賃貸期間が6年を超えていれば、カーペットの耐用年数を超えているため、カーペットの交換費用として借主が負担するのは「1円」になります。

また、原状回復義務はあくまで借りた時の状態に戻す義務ですので、借りた時に建物や設備が新品でなければ、その分の下方修正も必要となります。

仮に借主が原状回復義務を負う場合でも、借主の負担する金額は限定的なものになることがおわかり頂けたでしょうか。

 

クリーニング費用は?

クリーニング費用についても、借主は、「通常の使用により汚れた部分のクリーニング費用を負担する必要はない」というのが原則です。

ただし、賃貸借契約に「クリーニング特約」が付いている場合があります。借主が負担すべき範囲が明確で、かつ金額的にも妥当である場合には、特約は有効となり、借主がクリーニング費用を負担しなければならないことがあります。

 

国土交通省のガイドラインについて

この問題に関しては、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」により、基本的な考え方や基準を示しています。インターネット上で公開されていて、実践的な内容となっていますので、退去時のトラブルの際は参照して頂くことをお薦めします。

以上

弁護士 今里 晋也

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